ブロイラーおよび卵用種ヒナの成長と脂肪蓄積に対するコルチコステロンと抗甲状腺物質投与の影響

概要

論文の詳細を見る
ブロイラーにおいて血漿中コルチコステロン濃度と腹腔内脂肪量の間に正の相関関係があること(AKIBA et al., 1987),そして,コルチコステロン微量投与により脂肪蓄積が増加すること(AKIBAet al., 1992)が明らかにされている.そこで,コルチコステロンを数段階のレベルで注射した場合とコルチコステロンチューブ埋込みにより微量投与した場合,そして抗甲状腺物質(PTU)を投与した場合の成長と脂肪蓄積の変化をブロイラーおよび卵用種ヒナを用いて6回の試験を行なって検討した.ブロイラーおよび卵用種雄ヒナにコルチコステロン(300-1200μg/羽/日)を毎日14日間筋肉注射すると共に,PTUを飼料中に0.05%混合して給与する試験区も設定した.また,両種のヒナを用いて,2日間の絶食の後に4日間飼料を再給餌し,その間にコルチコステロンを注射する試験を行なった.コルチコステロンを生理的微量で定常的に投与するために14日齢の卵日種ヒナにコルチコステロンを充填したSilasticチューブを皮下に埋込み,21日間の試験を行なった.コルチコステロン注射によりブロイラーおよび卵用種ヒナの成長が有意に低下し,肝臓脂質含量と腹内脂肪含量はコルチコステロン投与レベルの増加に伴って著しく増加した.卵用種ヒナへのコルチコステロンチューブ埋込みによる微量投与(22μgおよび43μg/kg体重/日)の場合には成長の低下と肝臓脂質含量の増加は認められず,腹腔内脂肪含量の有意の増加のみが見られた.絶食-再給餌した卵用種ヒナでもコルチコステロン注射による腹腔内脂肪の増加が認められた.PTU投与により肝臓重量と腹腔内脂肪が増加し,PTUとコルチステロン注射の組合わせにより腹内脂肪は著しく増加した.以上の結果から,コルチコステロンの分泌上昇と甲状腺機能低下は鶏における体脂肪蓄積に関与することが示唆された.
社団法人日本畜産学会の論文

ブロイラーおよび卵用種ヒナの成長と脂肪蓄積に対するコルチコステロンと抗甲状腺物質投与の影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク