飼料中のゴイトリン定量値と菜種粕またはグルコシノレートを給与したヒナにおける生理活性ゴイトリン生成量との関係

概要

論文の詳細を見る
菜種粕または菜種粕より抽出調製したglucosinolateを給与した鶏ヒナの甲状腺細大度を測定し,抗甲状腺作用の発現割合と,飼料中のtotal goitrin(化学的定量値)との関係について検討した.化学的に純粋なgoitrinを添加した飼料を給与した試験区のヒナと,goitrin無添加の対照区のヒナの甲状腺重量比を,甲状線肥大指数(Y)とすると,goitrin添加量(Xmg/100g飼料)とYの間に,Y=0.116X+0.78,r=0.97(P<0.001)の直線関係が認められ,この回帰式を適用することにより,甲状腺肥大指数から,生体内で生成した生理的に活性なgoitrin量を定量(bioassay)することが可能であると判断された.菜種粕または菜種粕より調製したglucosinolateを給与したヒナにおける生理活性goitrin生成量は,菜種粕のミロシナーゼ(glucoside glucohydrolase)活性により大きく影響され,粕中の酵素活性を完全に破壊した場会には,生理活性goitrinとして発現するのは,給与した飼料中のtotal goitrin量の4%以下であったが,菜種粕中の酵素活性が保たれている場合には,約26%に増加し,白芥子より調製したミロシナーゼを飼料に,過剰に添加して与えた場合には,生理活性goitrinの生成割合は約49%に達した.
社団法人日本畜産学会の論文