シロネズミの肝臓脂質へのシリアチン (2-アミノエチルホスホン酸)の取り込み
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概要
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32P-シリアチンを成長中のシロネズミの尾静脈に注射し,肝臓脂質への取り込みを投与2時間から128時間にわたって経時的に調べ,次の成績をえた. 1. 肝臓全体への取り込みは,投与4〜8時間後にピークを示し,その後は急激に減少したが,肝臓脂質へのそれは,緩慢で投与32時間後にピークを示し,その後時間の経過とともに漸次減少した. 2. 肝臓総脂質へ取り込まれたシリアチンは,大部分リン脂質画分へ取り込まれ,リン脂質内におけるシリアチンの90%以上が, PE画分にホスホノケファリンとして存在し,ごくわずかがPC画分にボスホノレシチンとして存在した. PE画分について分子種分画を行ない,ジエン(モノエンを含む),テトラエンおよびヘキサエンの3画分への取り込みを調べると,シリアチンの分布比は時間が経過するにしたがい,肝臓PEの前記3画分の存在比に近づいていくことが認められた.これらのことは, PEのメチル基転移に関与する酵素系が,分子種特異性以外の基質特異性からニホスホノケファリンを基質として利用しにくいことを暗示する. 3. 肝臓細胞内各画分の総脂質の比放射能は,ミトコンドリア,ミクロゾームおよび可溶性画分の総脂質において,ほぼ同じ値を示した.このことは,ホスホノリピドがホスホリピドと同様,肝臓細胞内各画分間を相互交換される可能性を示唆する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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