白クローバーおよびその他の植物中のステロール
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概要
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反芻胃内繊毛虫(Entodinium sp)の生育を促進する物質として,さきに白クローバー中のステロールを同定したので,本研究では更に白クローバー中のステロールの存在様式及びその量について検討した。白クローバーの葉部のアセトン抽出物を薄層クロマトグラフィーで分析したところ,遊離型,エステル型,グルコシド型及びアシル化グルコシド型のステロールの存在が示唆された。また,未知の型のステロイド化合物と思われる物質の存在が示されたが,同定は行なわなかった。以上の5種の型のステロイド成分をフロリジル・カラムクロマトグラフィーによって分離し,それぞれの量を測定したところ,遊離型54.2%,エステル型33.1%,アシル化グルコシド型7.6%,グルコシド型3.4%,及び未知の型1.7%であった。次に,反芻動物が摂取する可能性のある種々の植物の葉部に含まれるステロールについて調べた。不ケン化物画分中のステロールを薄層クロマトグラフィー及びトマチン沈澱法によって集め,比色法で定量を行なったところ,供試した13種の植物のうち,12種ではステロール含量がほぼ等しく,乾物当り0.08〜0.11%であったが,燕麦の葉部では0.05%と少なかった。これらのステロール画分をガスクロマトグラフィーで分析し,β-シトステロール,スティグマステロール及びカンペステロールの存在の有無を検討した。供試した殆んどの植物において,β-シトステロールと相対保持時間が等しいピークが主要ピークであったが,ステロール類の組成が植物の種類によってかなり様相を異にすることが示された。以上の結果から,反芻動物が普通に摂取している天然飼料には常にかなりの量のステロールが含まれていると思われ,反芻胃内繊毛虫には常に十分量のステロールが供給されていると考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1973-12-25
著者
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