ルーメンプロトゾアに対するモネンシンの作用
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概要
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ルーメンプロトゾアに対するモネンシンの作用を24時間の培養実験により検討した.プロトゾアの生存に与える影響から,毒性効果を調べたところ,Entodinium属は4μg/ml程度,またDiplodinium属,Ophryoscolex属および全毛類は8μg/ml程度の濃度で,明らかに生存を阻害することが認められた.次に,毒性が認められた水準以下の濃度で,発酵パターンに対する影響を調べたところ,貧毛類の場合は0.5〜1μg/ml以上,また全毛類の場合は1〜2μg/ml以上で,モネンシン濃度が高くなるにつれて,VFA生成量が減少したが,特に酪酸の減少が大きかったため,酢酸とプロピオン酸のモル比率が増加する形となった.ぎ酸のモル比率は,貧毛類の場合は増加し,全毛類の場合は減少した.また,H2はモネンシンにより著しく減少した.一方,乳酸は,貧毛類の場合は顕著な変化が認められなかったが,全毛類の場合は1〜2μg/mlのモネンシンにより,有意に増加することが示された.これらの結果から,モネンシンを投与したルーメン内においては,プロトゾア数が減少する場合だけでなく,数に大きな変化がない場合でも,プロトゾアに与えるモネンシンの作用は,プロピオン酸のモル比率の上昇とメタン生成の低下という方向に,ルーメン発酵を導く要因の一つとなる可能性があると推察される.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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