鹿児島県で発生した牛の血腫に関する臨床血液学的研究(II)
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概要
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血腫が発生した黒毛和牛の血液塗抹において, 好酸球顆粒の径が正常なものと, 著しく大型のものとが認められ, 大型の顆粒を持つ牛は, 今回検索した血腫が発生した牛において51.9%にも達した.この顆粒の径の違いに基づいて血腫の牛を通常顆粒群と大顆粒群の2群に分類し, それぞれの群を対照群の牛と比較した.その結果, 貧血, 栄養状態, 腫脹の大きさなど, 臨床徴候は大顆粒群のほうが重度であり, また赤血球数, ヘモグロビン量, PCV, 血清コレステロール量とリン脂質量の減少, リポタンパク電気泳動においてα分画の減少とpre-β分画の増加, 血小板のコラーゲン凝集能の低下が, それぞれ大顆粒群では対照群に対し有意に認められたが, 通常顆粒群では有意差はなかった.一方本疾患の牛の血統は, K系が全体の48.0%を占め, また大顆粒群と通常顆粒群を通じてK系である例がそれぞれ46.7%および50.0%含まれていたことから, 本疾患の素因は遺伝性であり, 好酸球顆粒が大型であることおよび血小板凝集能の低下において, 牛の系統との関連が示唆された.以上の知見から本疾患は, 血小板凝集能および血清脂質の検査が診断上有効であり, また好酸球顆粒の大きさの観察は本疾患素因の有無を診断するために, 目安になると思われる.
- 鹿児島大学の論文
- 1987-03-16
著者
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安田 宣紘
鹿児島大 農
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安田 宣紘
鹿児島大学病態予防獣医学講座病理学分野
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安田 宣紘
家畜病理学研究室
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安田 宣紘
鹿児島大学 家畜病理
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森園 充
鹿児島大
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阿久沢 正夫
家畜内科学研究室
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阿久沢 正夫
鹿児島大学農学部獣医学科家畜内科学教室
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森園 充
家畜内科学研究室
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森園 充
鹿児島大学農学部獣医学科家畜内科学教室
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森園 充
Laboratory Of Veterinary Medicine
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嶋田 雅之
兵庫県総務部総務課
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日高 敏雄
北海道農業共済組合
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