実験的犬バベシア感染犬の血液細胞学的研究

概要

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Babesia gibsoniを実験感染させた犬における血液細胞学的研究を行ない次のような成績が得られた.1)赤血球数は原虫接種後3日目より減少し始め, 2週前後は接種前の約半数に減少し, 貧血が進むにつれ, 赤血球の大小不同, 多染性赤血球, 赤芽球の出現がみられた.2)原虫は接種後6日目頃より増加がみられ, 2〜3週目が最も多くなる.原虫は骨髄, 肝臓, 特に脾臓内の赤血球中で急速に分裂増殖を起すものと思われた.3)末梢血中の担鉄細胞は感染15日目から高率に出現し, その主な構成細胞は担鉄単球, 担鉄小型リンパ様細胞, 担鉄好中球であった.4)血管別血中の担鉄細胞は脾静脈に最も多く出現し, 次いで肺動脈, 門脈の順で, 細胞を種類別にみると担鉄大型喰細胞, 担鉄小型喰細胞は脾静脈, 門脈, 肺動脈に多数出現し, 担鉄単球は全ての血管に多数出現した.5)組織との関連では担鉄細胞は感染初期から脾臓に多く出現し, 次いで肝臓に出現した.さらに貧血が重度になるにつれて腎臓の尿細管上皮細胞にもヘモジデリン顆粒の沈着が認められ, 脾臓はBabesia gibsoni感染に対し, 血液細胞学的に貧血と大いに関連のある臓器である.
鹿児島大学の論文
1980-03-19