犬腫瘍に関する病理学的研究 : III.膵臓の腺房細胞癌(Acinar cell carcinoma)と好酸球の浸潤を伴った細網細胞肉腫(Reticulum cell sarcoma)
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概要
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犬の膵臓と下顎リンパ節に原発した腫瘍2例について病理学的に検査を行い次の結果をえた.第1例, ブルドック種, 3歳, 雌, 鹿児島市産臨床的に著明な腹水と黄疸症状を示し, 剖検により膵臓, 肝臓, 横隔膜, 大網, 脾臓, 肺に種瘍を認め, とくに膵頭(右葉)のものが最大で, 15×8×9cm大にもよんだ.これらの腫瘍はほぼ同様の組織像を呈し, 蜂巣状に増殖した腫瘍細胞からなり, 腫瘍細胞は円形, 楕円形のものが多く, 核はクロマチンに乏しいが明瞭な核小体を有し, 原形質は無顆粒性でエオジンに淡染する.膵臓原発の腺房細胞癌(acinar cell carcinoma)と診断した.犬における膵臓原発の癌は他の臓器に比して少なく, 本例の如く大きな腫瘤を形成した例は珍しい.第2例, ポインター種, 7歳, 雄, 大口市産下顎部において, 二度にわたる摘出手術後に再々発した腫瘍で, 顔面, 頸部に著明な水腫を伴っていた.腫瘍は両側下顎リンパ節に発生し, 左側が17×9×9cm大, 右側が9×5×4cm大で灰白色充実した小結節の癒合により形成されており, 組織学的には, 腫瘍細胞は, 多形性を示し, 核は淡明で明瞭な核小体を有し, 原形質はエオジンに淡染し突起や空胞の認められるものもあった.腫瘍組織内に著明な好酸球浸潤がみられ, また, 血液中の好酸球の増多, 骨髄の好酸芽球の増加が認められたことと, 腫瘍細胞が細網細胞由来とみなされたことより, 好酸球増多を伴う細網細胞肉腫(reticulum cell sarcoma)と診断した.
- 鹿児島大学の論文
- 1982-03-19
著者
-
安田 宣紘
鹿児島大 農
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安田 宣紘
鹿児島大学病態予防獣医学講座病理学分野
-
安田 宣紘
家畜病理学研究室
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安田 宣紘
鹿児島大学 家畜病理
-
河野 猪三郎
家畜病理学研究室
-
坂本 司
岩手大学農学部
-
坂本 司
家畜病理学研究室
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