鹿児島県で発生した牛の血腫に関する臨床血液学的研究

概要

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鹿児島県に発生した血腫牛23頭について, 健康牛117頭を対照として, 臨床血液学的に検索し, 以下の結果が得られた.1.赤血球数, 白血球数, PCV, ヘモグロビンの有意な減少(p<0.01)と, 血液塗抹における赤血球大小不同と多染性赤血球増加とから, 貧血の徴候が認められた.2.PT, PTT, フィブリノーゲン量は正常であることから, 血液凝固因子の欠損はないものと考えられた.血小板数増加とTEG所見(ma増加, kとflの減少)から, かえって凝固性亢進の存在が示唆された.3.血清タンパク電気泳動では, α-グロブリンの増加とγ-グロブリンの減少とが有意に(p<0.01)認められた.4.血清中の遊離コレステロールとリン脂質の有意な減少(p<0.01)が認められた.5.病理組織学検査では, 患部の筋の硝子様変性と壊死, 肝臓における軽度な脂肪沈着, 腎臓尿細管のヘモジデリン沈着が認められた.6.血腫内容液の好気性と嫌気性培養からは, 特定の細菌は検出されなかった.以上の結果から, 血腫の形成には血清脂質の変化が関係していると考えられた.
鹿児島大学の論文
1984-03-15