家畜における唾液腺ホルモン(パロチン)の臨床的応用に関する研究 : 第2報老令犬にたいするパロチンの応用について

概要

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唾液腺ホルモン(パロチン)を老令犬に応用した結果, 次の知見を得た.1)犬にたいするパロチン注射の用量は, 体重10kg当たり, 3〜5mgの1回量が適当と考えられ, 回数は症状により異なるが, 隔日3〜10回とし, 病勢によってはさらに回数を追加する.慢性のものにたいしては, 注射に引続き, パロチン錠剤を体重10kg当たり20mg(4錠)を日量とし, (朝・夕2回に分与)2〜3カ月継続することが適当と考えられた.2)体重10kg程度の犬にたいするパロチン1mg, 3mgおよび5mgの筋肉内注射において, いずれも白血球数の一過性上昇作用が認められ, その増加の程度と時間はパロチンの量に比例することが観察された.3)パロチンの投与により, 老令犬に見られる角膜炎, 結膜炎, 頑固な便秘, 膣炎に著効を奏し, 軽度の白内障, 難聴の好転, 他剤との併用により内科的に歯槽膿漏症を治癒させた.4)被毛の新生と光沢の増強, 食欲, 元気の増進など, 老令犬に見られる一般所見の顕著な改善が見られ, ♂に交尾欲の発現, ♀に発情の再来が観察された.5)血液所見では, 血清蛋白像の正常化, とくにA/G比の上昇が観察された.
鹿児島大学の論文
1971-09-25