調味液中での加熱に伴うイカ肉のテクスチャー変化

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加熱に用いる調味液の違いによるイカ肉のテクスチャー変化を調べるため,スルメイカ胴肉を50mm角に整形し,水,18%(w/w)塩化ナトリウム水溶液,しょう油中で1,5,10,および30分間加熱して,イカ肉のテクスチャーに関する官能評価,イカ肉の重量および水分量の測定,塩分濃度測定,pH測定,力学特性測定,SDS-PAGE分析を行った。5分間加熱イカ肉を用いた官能評価では,しょう油試料加熱が最も歯切れが良く,次いで塩化ナトリウム水溶液加熱試料,水加熱試料の順であった。力学特性測定では,しょう油加熱試料が最も硬く,次いで塩化ナトリウム水溶液加熱,水加熱試料の順であり,長時間の水加熱で軟化したが,他の調味液加熱では軟化しにくいことが明らかになった。SDS-PAGEの泳動パターンより,塩化ナトリウムの添加によってミオシンの重合が促進されるなどの筋原繊維の組成変化が観察された。水加熱では時間経過に伴い水分と固形分が同程度に水中に移行している一方,塩化ナトリウム水溶液およびしょう油加熱では,加熱時間が増すとともにイカ肉の水分含有率は減少した。特にしょう油加熱では著しく脱水が進み,また,イカ肉表皮が硬くなった。しょう油に含まれる塩化ナトリウム以外の成分(アミノ酸,糖類等)がタンパク質の加熱における分解や重合を進めるとともに,筋原線維組織の凝集を促進させ,イカ肉および表皮の組織およびテクスチャーに大きく影響を及ぼしたものと考えられる。
2006-06-20

調味液中での加熱に伴うイカ肉のテクスチャー変化

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