醤油中のアミノ酸に関する研究 : 第5報夏仕込諸味におけるアミノ酸の消長

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夏仕込諸味における遊離アミノ酸(塩酸加水分解前)および全アミノ酸量(分解後)の変化と醗酵終了時(327日)の粕のアミノ酸組成を,原料として丸大豆および脱脂大豆をそれぞれ用いた2種類の諸味についてしらべた。遊離および全スレオニン,グリシン,アラニン,パリン,ロイシンおよびリジンは熟成期間中増加が持続された。これらのアミノ酸の遊離率は30日経過諸味でもほとんど変らなかった。遊離アスパラギン酸,セリンおよびイソロイシン量は増加するが,しかし全セリン,イソロイシンとくにアスパラギン酸は減少した。遊離グルタミン酸はいくらか減少したが,全グルタミン酸量はほとんど変化しなかった。遊離および全ヒスチジン,とくにアルギニン,プロリンは減少した。4月仕込の生揚醤油のアミノ酸組成は本結果とほぼ同じ値を示したが,遊離グルタミン酸とその遊離率は相当低い値を示した。粕中に多量含有されるアミノ酸はグルタミン酸,アスパラギン酸およびアルギニンであった。粕に残りやすいアミノ酸はロイシン,グリシン,アラニン,およびパリンであり,逆に残りにくいアミノ酸はプロリン,グルタミン酸,スレオニン,リジンおよびヒスチジンであった。脱脂大豆仕込と丸大豆仕込を比較すると,熟成中におけるアミノ酸の減少の程炭に差を認めた。また,両仕込の全窒素量が同じであるならば,丸大豆仕込諸味中に含まれるアミノ酸量は脱脂大豆仕込のそれよりも高い値を示すことを認めた。
大阪夕陽丘学園短期大学の論文
1965-07-01

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