<原著>理論的サンプリングによる入院患者の行動に関する帰納的概念化 : 看護問題に焦点を当てて
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概要
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本研究の目的は,入院患者の行動を説明する概念の構築を試みることである。研究方法はGrounded Theory Approachを参考にした質的,帰納的方法である。データ収集は,患者と看護婦の相互行為が行われたケア場面への参加観察によって行った。データ分析は,患者行動を看護問題に対応させながら持続比較分析を行い,以下の結果を得た。患者の行動は9つの概念によって構成され,それらは以下の通りである。患者は原疾患に伴う固有の問題を有し,入院,治療・検査,ケアにより,その固有の問題に加え,新たな問題を抱え込んでいた。患者は直面したこれらの問題を解決するために自己対策を立て対応し,また,治療・検査,ケアに対し,受け入れたり,拒否したりという様々な関わり方をしていた。一方,適切な治療・検査,ケアにより患者の持っていた問題の好転や解決がもたらされた。この他「自己対策による結果と新たな問題の発生」は,今回の理論的サンプリングにより新たに発見した概念である。これらの結果は,入院患者へのケアをより適切なものとしていくためには,患者個々の健康問題に加え,これを取り巻く患者の状況を考慮に入れること,ケアヘの患者参加が重要であることを示唆した。
- 千葉大学の論文
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