ヒマラヤヤマボウシ不定根の抗酸化およびラジカル捕捉活性
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概要
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ヒマラヤヤマボウシ(Cornus capitata 'Mountain Moon')不定根の主ポリフェノール成分は、加水分解型タンニンのガロイルグルコース類である。その生合成は、培養培地中のCu^<2+>濃度に大きく依存し、Cu^<2+>が高濃度の場合は、ガロイルグルコース類の蓄積が抑制される。今回、各種Cu^<2+>濃度(0〜1.0μM)のWP培地で培養したヒマラヤヤマボウシ不定根のメタノール抽出液について、抗酸化およびラジカル捕捉活性を測定し、没食子酸および各種ガロイルグルコース類(β-glucogallin, 1,6-di-O-galloyl-β-D-glucose, 1,2,6-tri-O-galloyl-β-D-glucose, 1,2,3,6-tetra-O-galloyl-β-D-glucose, 1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-β-D-glucoseおよびタンニン酸)の活性と比較した。リノール酸に対する抗酸化活性はferric-thiocyanate法により測定し、ラジカル捕捉活性は1,1-ジフェニル-2-ヒドラジルラジカルに対する結合度を指標としてHPLC分析により測定した。ガロイルグルコース類の抗酸化活性は、そのガロイル基数との相関は認められなかった。それに対して、ラジカル捕捉活性は、ガロイル基の数が多いほど活性が強く、1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-β-D-glucose (5.0μg/ml)において、最高値(61.4%の捕捉)が認められた。ヒマラヤヤマボウシ不定根抽出液の抗酸化活性は、抽出液中のポリフェノール含量との相関は認められず、不定根中にはポリフェノール類以外の抗酸化物質の存在も示唆された。また、ラジカル捕捉活性は、不定根中のポリフェノール含量が高いほど活性が強く、0.05μMCu^<2+>濃度の培地で培養した不定根の抽出液(全ポリフェノール含量、1.8μg/ml)において最高値(90.5%の捕捉)が認められた。ガロイルグルコース類を高含量で蓄積するヒマラヤヤマボウシ不定根は、抗酸化およびラジカル捕捉物質の新しい供給素材としても期待される。
- 1999-06-28
著者
-
下村 講一郎
東洋大学植物機能研究センター
-
田中 章江
佐賀大学農学部
-
石丸 幹二
佐賀大学農学部
-
下村 講一郎
東洋大学生命科学部
-
下村 講一郎
国立医薬品食品衛生研究所・筑波薬用植物栽培試験所育種生理研究室
-
下村 講一郎
国立医薬品食品衛生研究所
-
Ishimaru Kanji
Department Of Applied Biological Sciences Faculty Of Agriculture Saga University
-
下村 講一郎
東洋大生命科学部
-
石丸 幹二
佐賀大学農学部 応用生物科学科
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