オウシュウクロマツ針葉の糖脂質とリン脂質の季節的変動

概要

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オウシュウクロマツの針葉に含まれる糖脂質とリン脂質の季節的変動を調査した。糖脂質の含量は冬期に若干減少したが,逆にリン脂質のそれは12月から2月にかけて高い割合を示した。また,新規なB型DGDG,Gal(β1→6)-Gal(β1→3')-diacylglycerol (DG)は夏期には全く認められなかったが,冬期には認められ,特に2月に最も多量に含まれていた。また,B型DGDGの分子種組成は,A型DGDG,Gal(α1→6)-Gal(β1→3')-DGよりもむしろMGDGのそれに類似していた。ホスファチジルコリン(PC)やホスファチジルエタノールアミン(PE)の分子種組成はホスファチジルグリセロール(PG)のそれより複雑であり,またPCやPEのジリノレニン(18:3-18:3),リノレオイルリノレニン(18:2-18:3)およびパルミトイルリノレニン(16:0-18:3)分子種には2種の18:3の位置異性体が年間を通して存在していた。リン脂質分子種の季節的変動を調べたところ冬期には不飽和度の高い分子種の割合が増大し,それに伴って飽和(16:0と18:0)およびモノエン脂肪酸(18:1)を含む分子種の割合が減少した。
帯広畜産大学の論文
1990-11-30