小脳プルキンエ細胞への入力タイミングをCa^2+濃度に変換するシグナル伝達のシミュレーション
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概要
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小脳長期抑圧は,平行線維入力と登上線維入力の組み合わせで起こる.平行線維入力より後に登上線維入力があったときに,プルキンエ細胞のスパイン内のCa^2+濃度が著しく上昇し,長期抑圧が起きる.しかし,分子メカニズムがどのように働いて入力タイミングが検出されているのか分かっていない.我々は,シグナル伝達の定量的なモデル化を試み,入力タイミングがCa^2+濃度に変換されるダイナミクスを解析した.その結果,Ca^2+濃度上昇は閾値現象であり,平行線維入力によるイノシトール1,4,5-トリスリン酸(IP_3)濃度上昇が閾値を下げていることが分かった.さまざまな刺激条件で見られた長期抑圧は,同じメカニズムを違う側面から見ている可能性を示した。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2002-06-21
著者
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川人 光男
奈良先端科学技術大学院大学
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川人 光男
(株)atr計算論的神経科学プロジェクト
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川人 光男
科学技術振興事業団erato川人学習動態脳プロジェクト:atr人間情報通信研究所
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黒田 真也
東京大学 大学院情報理工学系研究科生物情報科学学部教育特別プログラム
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土居 智和
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
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道川 貴章
東京大学 医科学研究所
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黒田 真也
東京大学理学系研究科
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川人 光男
株式会社国際電気通信基礎技術研究所脳情報通信総合研究所
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