複数の変更された環境における到達運動の学習 : 内部モデルの多重性の検証
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概要
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キネマティックな特性及びダイナミックな特性を変更した新奇な環境において, 到達運動の学習過程を検討した.本実験では, キネマティック変換として, 直交座標系における手先の位置を示すカーソルをCRT上で回転させて表示する回転変換, ダイナミック変換として粘性場を用いた粘性変換, 及びこれら二つの組み合せた変換を用いた.手先軌道は学習に伴って直線に近くなり, 目標に正確に到達するようになることが観察された.回転変換, 粘性変換をそれぞれ先に学習させてから組合せ変換を学習させると, 組合せ変換が先の場合よりも最終誤差が小さく, 軌跡の長さも有意に短くなった.また組合せ変換を先に学習させたときの回転変換, 粘性変換下での運動の最終誤差及び軌跡の長さは, 回転, 粘性変換が先の場合よりも小さくなった.これらの結果は, 中枢神経系がそれぞれほ変換を補償する複数の内部モデルを別々に学習しており, 環境の変化に応じて各内部モデルを合成させたり分離させたりしていることを示唆する.このような内部モデルの多重性は, 生体が様々なダイナミック, キネマティック特性をもつ環境や道具に柔軟に対応することを可能にしていると考えられる.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2000-02-25
著者
-
中野 恵理
産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究所
-
大須 理英子
科学技術振興事業団学習動態脳プロジェクト
-
川人 光男
科学技術振興事業団学習動態脳プロジェクト
-
中野 恵理
ATR国際電気通信基礎技術研究所
-
フラナガン ジョンR.
クイーンズ大学
-
今水 寛
科学技術振興事業団学習動態脳プロジェクト
-
吉岡 利福
科学技術振興事業団学習動態脳プロジェクト
-
大須 理英子
株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報研究所
-
大須 理英子
国際電気通信基礎技術研究所脳情報研究所:情報通信研究機構
-
大須 理英子
科学技術振興事業団川人学習動態脳プロジェクト
-
吉岡 利福
Atr脳情報研究所
-
今水 寛
科学技術振興事業団川人学習動態脳プロジェクト
-
川人 光男
株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報研究所
-
川人 光男
科学技術振興事業団erato川人学習動態脳プロジェクト:atr人間情報通信研究所
-
川人 光男
Atr人間情報科学研究所
-
川人 光男
(株)atr人間情報通信研究所
-
川人 光男
株式会社国際電気通信基礎技術研究所人間情報科学研究所
-
Flanagan John
クイーンズ大学
-
川人 光男
科学技術振興事業団 川人学習動態脳プロジェクト : Atr人間情報通信研究所
-
大須 理英子
科学技術振興事業団
-
大須 理英子
国際電気通信基礎技術研究所
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