Bacillus subtilis細胞膜による蛋白合成

概要

論文の詳細を見る
当研究室ではα-アミラーゼ高生産株, Bacillus subtilis KA 63によるα-アミラーゼ優先合成の解析を行ってきたが, 優先合成型を示す主要因はその mRNA の高度な安定性にあることをin vivoの実験から結論し, 既に報告した。我々は分泌酵素, α-アミラーゼのmRNAは膜結合ポリゾームとして存在することにより, 安定であるとの作業仮説を膜区分を主体とするin vitro実験系において証明を試み, そこで得られた基礎的知見を報告する。B. subtilis KA 63の対数増殖期菌体をリゾチーム処理, 破砕後, 蔗糖密度重層遠心分離法により蛋白合成能を持つ膜を精製した。このポリゾーム結合膜画分とプラズマ画分(S-30またはS-105), エネルギー補給系, アミノ酸混液より活性かつ安定したin vitro蛋白合成系を調製した。アミノ酸の蛋白への取り込みはピウロマイシン, クロラムフェニコールによって阻害され, KCN, アクチノマイシンD, リファンピシンによっては影響されなかったことより, この蛋白合成は膜に既存のmRNAによるde novo合成であると結論された。合成活性の最適pHは7.4〜7.8であった。蛋白合成速度はプラズマ濃度に依存し, 取り込まれたアミノ酸の最終的な量は膜の量によって制限された。また精製リボゾームを反応系に添加することにより取り込みは増大し, 取り込みが停止した時点にリボゾームを加えても取り込みの再開が見られた。しかしこの場合, 反応初期に同量のリボゾームを添加したものに比し合成量は低下した。このことからmRNAの崩壊は無視出来ないにしても, リボゾームのrun-offが合成停止の主要因と考えられ, mRNAは安定であると結論された。
社団法人日本生物工学会の論文
1975-04-25

Bacillus subtilis細胞膜による蛋白合成

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク