酢酸および乳酸の酸化速度の特性と基質の脂肪膜透過性について

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Saccharomyces cerevisiaeとEscherichia freundiiにおける種々の基質の酸化速度をワールブルグ検圧計を用いて調べた結果, 基質酸化速度には残存基質濃度との関係において2つの型があることを認めた.その1は, グルコース, ピルビン酸, エタノールを基質とした場合で, その酸化速度は酸化によって減少する残存基質濃度に対してMonod式に従って減少するものであり, 他方は酢酸や乳酸を基質とした場合で, その酸化速度は初発基質濃度によってそれぞれのレベルに決定され, 酸化によって外部基質濃度がほとんど0(>10^<-6> M)になるまで初発酸化速度を持続した.また初発基質濃度によって決定された酸化速度は, 外部基質濃度を稀釈によって減じても変化しなかった.さらに, 酢酸における特殊な基質酸化型について, ^<14>C-酢酸を用いたトレーサ法などにより, 基質の酸化酵素系および細胞膜透過系との関連について検討した.酢酸酸化の第1段階の酵素であるacetokinaseおよびacetothiokinaseのMichaelis-constant(K_m)はそれぞれ10^<-1> M, 10^<-3> Mであって酸化速度の酢酸に対するsaturation constant(K_s)が10^<-6> Mであることにより, 酸化速度はこれらの酵素によって律速されているとは考えられない.酢酸の細胞膜透過は低温において認められないことやdinitrophenolなどによって阻害されることなどにより, 能動輸送系によると考えられた.また初発基質濃度と初発基質取込み速度とはMonod式に従い, そのK_s値および最大速度V_m値は, 初発濃度によって決定される酸化速度のK_s, V_m値とほぼ同一値を与えることにより, 酸化速度は基質の細胞内取込み系により律速されていると考えた.これらの結果より酢酸や乳酸における特殊な酸化様式について, 基質の細胞膜透過系におけるキャリヤー分子を仮定したモデルについて検討した.
社団法人日本生物工学会の論文
1972-03-25

酢酸および乳酸の酸化速度の特性と基質の脂肪膜透過性について

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