茶碗蒸しの物性に及ぼす影響因子の解析 : 第2報 : ゲル化特性に及ぼす調理時の加熱条件,pHおよび食塩濃度の影響

概要

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茶碗蒸しを調理する際の昇温速度,pH及び食塩濃度がその製品に及ぼす影響について動的粘弾性から調べた。卵液の食塩濃度が0.6%,pHが6.45の場合の茶碗蒸しのゲル化開始温度は77℃であり,最終温度90℃に至るまで直線的に貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G")が共に上昇した。茶碗蒸し調製時の昇温速度が速いほどゲル化開始温度が高く,ゲル化しにくくなり,内部温度85℃では貯蔵弾性の低下をもたらした。しかし,内部最終温度が90℃とすると,昇温速度が茶碗蒸しの物性に及ぼす影響はなく,速度に関係なく好ましい食感が得られた。pHの変化に対する貯蔵弾性率の変化において,pH5.2から7.0までのpH変化では茶碗蒸しの貯蔵弾性率の上昇は大きくなるが,pH7を超えるとその上昇度合いは低減した。さらに離水率もアルカリ側では低い値となった。食塩と茶碗蒸し物性の関係において,0.6%から1.2%と食塩濃度の上昇に伴い茶碗蒸しの貯蔵弾性率は上昇した。0.6%および0.8%食塩濃度の製品における味・食感についての官能評価から,食塩濃度0.8%の茶碗蒸しの方が好まれることを示した。
日本調理科学会の論文
2000-11-20