タバコモザイクウィルスに対する植物培養細胞の抵抗性発現機作(第1報) : タバコ細胞のカルス誘導,プロトプラスト化およびクローニングに関する条件

概要

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タバコ(Nicotiana glutinosa)のカルス誘導とその遊離細胞のクローニングおよびプロトプラス化に好適な培養条件について検討した。表面殺菌種子を,各種濃度の2,4-Dのナトリウム塩とカイネチンを添加したMurashige-Skoog(MS)寒天培地で培養し,種子発芽後に認められるカルス誘導を調べた。その結果,2.0μg/mlの2,4-D・Naと0.2μg/mlのカイネチンおよび3.0μg/mlの2,4-D・Naと0.1μg/mlのカイネチン添加区でもっとも高いカルス誘導の値が得られた。これらのカルスには,形態的特徴や増殖速度を異にするカルス組織が含まれているため,MS液体培地で振とう培養した。この場合,添加する2,4-D・Naとカイネチンの濃度は,それぞれ0.5μg/mlと0.05μg/mlがその増殖に最適であった。数回の継代培養によって,カルス組織から容易に単細胞を遊離しうるカルスを得た。上記カルスからプロトプラストを調製するための酵素条件を検討した。細胞壁分解酵素にはセルラーゼオノヅカRS 10 mg/ml, マセロザイム2 mg/mlおよびペクトリアーゼ1 mg/mlを組合せて用いた場合に迅速かつ高頻度のプロトプラスト化が認められたが,処理時間を延せばセルラーゼオノヅカR-10を単独で使用しても高い値が得られた。カルスをその大きさによって分類し,それぞれからプロトプラストの出現する率を調べたところ,直径が2000〜4000μmのカルスでもっとも高い値が得られた。単一細胞に出来したカルスをクローニングするため,250μmのメッシュを通過しうるカルス細胞を得た。この細胞集団の90%以上が単一細胞であったので,50°Cで溶解したMS寒天培地に細胞液(細胞密度:5×10^5 cell/ml)を加え,ペトリ皿で培養した。培養1ケ月後に形成されたカルス塊を単離し,13〜15回継代したのち,cell line として命名した。
近畿大学の論文
1983-03-15

タバコモザイクウィルスに対する植物培養細胞の抵抗性発現機作(第1報) : タバコ細胞のカルス誘導,プロトプラスト化およびクローニングに関する条件

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