タバコモザイクウイルスに対するトマト品種の抵抗性(第5報) : トマト体内でのウイルス増殖に対するサイトカイニン類の影響
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概要
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サイトカイニン類およびその類似物質を用い,トマト体内でのTMVの増殖に対する影響を調べた。薬剤はすべて接種と同時にトマトの根から吸収させ,通常6日間,特別な場合には接種後1,2日間作用させた。トマト内のウイルス量は化学的方法で求め,半純化したTMVのOD_<260>を算出した。(1)プリン-6-カーバモイルスレオニン(PCT)は10^<-6>M液の接種後6日間処理によって,特に抵抗性品種ZKにおいてウイルス量を減少させた。(2)ベンジルアミノプリン(BAP)はZKにおいてのみ,K^<-6>M液の接種後6日間処理で,ウイルス量を減少させた。(3) 2チオウラシル(2TU),6-アミノ-6-チオウラシル(ATU)は, 10^<-6>,10^<-7>M液で,特にZKにおいてウイルス量をいちじるしく促進した。(4)I-デアザペンチルアシノプリン(DPA)は10^<-5>,10^<-6>M液で,ZKにおいてウイルス量をやや減少させたが,大きな影響はなかった。(5)ジフェニルウレア(DPU)は10^<-5>M液でZKにおいて特にウイルス量を減少させた。その減少は接種直後1日間の薬剤処理でも有効であった。(6)カイネチン(KIN)は10^<-5>M液の,接種直後2日間処理で,ZKおよび罹病性品種F2ともに,ウイルス量を減少させた。(7) DPUとKINの混合実験では.DPUの10^<-5>M液にKINの10^<-5>M液を添加することにより, ZK, F2ともウイルス量を減少させた。(8)以上の実験結果に基軋サイトカイニン類のもつ抗ウイルス性,およびウイルス増殖制御作用について考察した。
- 近畿大学の論文
- 1979-03-15
著者
-
平井 篤造
近畿大学農学部農学科植物病理学研究
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森 敏記
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
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伍賀 富久美
近畿大学農学部農学科植物病理学研究室
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伍賀 富久美
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
-
平井 篤造
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
-
西村 充博
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
-
柳 陽一郎
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
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倉橋 正祐
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
-
平井 篤造
近畿大学農学部
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