オオムギ斑葉モザイク病に関する研究(第3報) : オオムギ品種のウイルス抵抗性
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概要
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[Author abstract]Using barley varieties, which have different resistance-grades to barley stripe mosaic virus (BSMV), the nature of varietal resistance was investigated. In susceptible and moderateresistant varieties, detachment of the 1st leaves, which were inoculated, 2 days after the inoculation or later on caused an infection of the 2nd or the upper leaves. This shows a completion of the virus translocation within this period from the inoculated leaves to the upper leaves. Although, under the same condition, highly-resistant variety showed the virus translocation 3 days after the inoculation or later on, no differences in virus translocation were found between susceptible and moderate-resistant varieties. Thus, the varietal resistance can not be fully solved from the virus translocation. The leaf extracts from highly-resistant variety, as well as those from immune and susceptible varieties, had no inhibitory activity against BSMV when they were mixed with BSMV in vitro. In contrast, the leaf extracts from moderate-resistant variety had the inhibitory activity to some extent. The leaf area adjacent to the inoculated portion was homogenized and the virus-inhibitory activity was tested. No correlation was found between resistance-grades of the leaves and the virus-inhibitory activity. Leaves of different varieties showing distinct symptoms were homogenized and the 10^<-1>, 10^<-2>, and 10^<-3> diluted solution was inoculated to the test susceptible variety. Extracts from the resistant varieties and their diluted solution caused low percentages of infection as compared with the respective solution from the susceptible variety. This fact indicates the presence of virus at a low concentration in the resistant varieties, even though they are infected. These data seem to reflect the importance of the capacity of host plants to permit virus multiplication in the resistance mechanism.[著者抄録]1. オオムギ斑葉モザイクウイルス(BSMV)に対して量的抵抗性を異にする各品種を用いて、その抵抗性の原因を追究した。2. 第1葉にBSMVを接種し、接種後日を追って接種葉を切取り、第2葉以上での発病を調べる方法によると、躍病性・中度抵抗性品種では接種後2日目に第1葉から第2葉へのウイルスの移行が完了した。また高度抵抗性品種では、ウイルスの移行は接種後3日以降であった。3. 中度抵抗性品種の健全葉汁液内には、罹病性・高度抵抗性・免疫性の各品種の同汁液に比較してBSMVの感染性をある程度阻害する性質が存在した。また罹病性品種の接種部隣接葉組織内にも以上の性質が存在した。4. 抵抗性を異にする各品種の発病株をすりつぶし、その稀釈度を変えて検定品種に接種した実験によると、抵抗性の強いものほど各稀釈度とも検定品種上での感染率が減少した。このことは抵抗性品種ではウイルスの濃度が少ないことを物語る。5. 以上の実験結果から、,BSMVに対するオオムギ品種の抵抗性は、ウイルスの移行の難易や汁液中のウイルス感染性阻害物質の存在に基くものではなく、ウイルス増殖の多少によって決定されるものと結論した。
- 近畿大学の論文
- 1974-03-15
著者
-
平井 篤造
近畿大農
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平井 篤造
近畿大学農学部農学科植物病理学研究
-
大橋 信夫
近畿大学農学部農学科植物病理学研究室
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平林 寿恵子
近畿大学農学部農学科植物病理学研究室
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志水 澄雄
近畿大学農学部農学科植物病理学研究室
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平井 篤造
近畿大学農学部農学科・植物病理学研究室
-
平井 篤造
近畿大学農学部
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