<原著論文>教師からの授業メッセージと職業的アイデンティティとの関連

概要

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職業的アイデンティティを育てることの出来る教育とはどのような内容のものであろうか。本研究は, 教師から学生に向けて伝えられるメッセージという観点から授業を捉え, 教師からのメッセージが学生の職業的アイデンティティに及ぼす影響について検討した。すぐれた実践家の授業で出されるメッセージからメッセージ尺度項目を抽出し, 質問紙を作成した。この質問紙を用いて医療系大学1〜4年生に調査を実施し, データを因子分析により解析した。その結果, メッセージ尺度は, 「医療職の専門性と独自性」因子, 「患者中心の医療の重要性」因子, および「医療者育成への熱意」因子の3つの共通因子から構成されていることが明らかになった。また, 授業メッセージと職業的アイデンティティとの関係については, 「医療職の専門性・独自性」因子は職業的アイデンティティを高めるが, 「患者中心の医療の重要性」因子は, 逆に職業的アイデンティティを低めることがわかった。また, 「医療職育成への熱意」因子では, 全般的には職業的アイデンティティを高めるが, 「医療職の選択と成長への自信」の要素に対してはかえって低める可能性が示された。職業的アイデンティティの形成途中の学生にとって, 患者中心の医療を重視し過ぎると逆に職業的アイデンティティを弱めるという結果は興味深く, また今後の医療教育の基礎資料として重要である。

<原著論文>教師からの授業メッセージと職業的アイデンティティとの関連

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