<原著論文>本学学生の作業療法士に関する職業観の変容とその要因の検討
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概要
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本学作業療法学科に入学した学生の作業療法士としての職業観や専門性の意識が, 学年間でどのように異なるかについて調査した。また, 様々な要因が職業観にどのように関与しているかを探った。調査は, 1年次から3年次学生については, 平成10年6月に実施した。また, 4年次学生については, 平成10年4月の病院実習前の時期に実施した。質問紙法を用い, 授業時間を利用して一斉に調査表を配付し, その場で回答を求め, 記人後に回収した。その結果, 職業観は, 専門性, ステイタス, および独自性の3因子から成ることが見い出された。作業療法士に対する職業観は, 専門性因子やステイタス因子が1年次の学生で全般に高いのに対し, 学年が進むにつれてしだいに低下していく様子が顕著に示された。また, プライドに関する要因の中で最も強い影響を及ぼしていたのは評価因子であり, 作業療法士として評価を受けることにより素晴らしい職業であると感じるようになり, 作業療法士としての専門性を意識する状況がうかがえた。また, 教育因子は, 職業観の3因子すべてに関与していたことから考えると, 作業療法士としての職業観を形成する上で様々な影響を及ぼすことが推察された。さらに, 職業としての将来性に失望する場合, 逆にプロとしての優しさや社会的な地位などのステイタスを意識する可能性が示された。そして, 授業で医学的・科学的知識などを学んだとき, 職業的な専門性を強く意識することが示され, また人の心のはたらきを配慮したり, リハビリテーションの基本理念を学ぶなどの情緒的な因子により, 職業的ステイタスが高められる可能性が示唆された。
- 茨城県立医療大学の論文
著者
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落合 幸子
茨城県立医療大学保健医療学部人間科学センター
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岩井 浩一
茨城県立医療大学
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落合 幸子
茨城県立医療大学
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Parry Neil
茨城県立医療大学人間科学センター
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海山 宏之
茨城県立医療大学人間科学センター
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田山 雅世
介護老人保健施設なでしこ
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田山 雅世
介護老人保健施設マカベシルバートピア
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田山 雅世
老人保健施設マカベシルバートピア
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岩井 浩一
茨城県立医療大学保健医療学部人間科学センター
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