<原著論文>慢性脳血管障害者における心身の障害特性に関する経時的研究 : 心身の障害予測因子に関する分析

概要

論文の詳細を見る
1. 目的: 慢性脳血管障害(発病30日以上経過)における心身の障害特性である能力障害, 脳血管障害後うつ状態, QOL (Quality of Life)の3項目に関する予測因子について重回帰分析を用いて考察する。2. 対象と方法:対象は, リハビリテーション専門病院である茨城県立医療大学附属病院を退院し, 発病1年時調査が可能であった慢性脳血管障害者90名である。調査は, 入院時(発病平均3ヶ月目), 退院時(発病平均6ヶ月目), 退院後(発病後1年時)の前向きコホート研究である。能力障害, 脳血管障害後うつ状態, QOLの3項目を従属変数に, 年齢, 性など15項目を説明変数に重回帰分析(stepwise method)を行った。3.結果と考察:入院時から退院時, 退院時から発病1年時において座位の体幹腹筋力が良いほどADLが良いため, 在宅において座位機能の向上を心がけることがADLの維持にかかせないと考える。また, QOLが悪いほどうつ状態が重度であり, QOLの向上がうつ状態の軽減に重要であることが示唆された。