食肉の燐脂質に関する研究 : V. 加熱による牛肉燐脂質の組成変化
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概要
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牛大腿部筋肉から抽出した燐脂質を空気中で加熱し,その結果生じる燐脂質組成の変化をしらべたところ,次のような結果が得られた.1. 加熱した燐脂質の水溶性加水分解生成物のペーパークロマトグラフィーから,グリセロフォスフォリルコリンに相当するスポットの燐含量の増加が認められた.また,-NH2基をもつ燐脂質の含量は加熱によりいちじるしく減少した.2. 燐脂質を加熱すると,プラズマローゲンがいちじるしく減少し,また燐脂質酸や水溶性の燐化合物の含量が増加した.これらの増減は極性機序で進行する加水分解などが燐脂質の各部で起こつたためと考えられた.3. 燐脂質の加熱前後におけるニンヒドリン陽性成分,コリンおよびスフィンゴシン含量を測定した結果によると,ニンヒドリン陽性成分は加熱によりいちじるしく減少したが,コリンやスフィンゴシンはほとんど減少せず,高温処理(130°C,5時間)の場合にわずかに減少が観察されたのみであつた.
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