鶏肝臓熟成酒粕漬の食塩添加効果

概要

論文の詳細を見る
超音波照射洗浄した鶏肝臓を食塩0, 2, 4及び6%調製粕床に5℃で10日間漬け込み, 粕漬の理化学的性状及び嗜好に及ぼす食塩添加の影響について検討した。1) 粕漬の食塩の浸透は粕床の食塩濃度の増加に伴い食塩含量が増加することを確認し, 食塩濃度が高いほど水分が減少しpHは低下したが, アルコール量と全糖は増加した。2) 焙焼後の粕漬のテクスチャーの経日変化は, 食塩無添加粕漬に比べて食塩添加床の粕漬は食塩の作用を受け硬さ・ガム性の値が7日間まで漸増し, 有意差が認められた。3) 粕漬の色調変化は, 食塩4%と6%床の粕漬は黄色度の変化が小さく, 彩度が高値を示し鮮やかさを保持していた。4) 粕漬の好適調製条件は食塩2%〜4%添加粕床の7日漬で食塩含量は0.9〜1.7%程度のものが好まれ, 硬さが適当で酒粕の風味が加わり, まろやかな味と評価された。以上の結果から, 粕漬の食塩2%〜4%添加はテクスチャーの変化や食塩濃度による色調の差を認め, 嗜好性の向上に寄与することが示唆された。
日本調理科学会の論文
1995-11-20