淡水魚,河川水及び泥土からのエルシニアの分離
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概要
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近郊を流れる2つの河川で捕獲したフナ,ナマズなどの淡水魚及び捕獲地点の河川水,川底の泥土からエルシニアの分離を試み,以下の成績を得た。1)淡水魚276尾の直腸内容物のうち,56尾,20.3%からエルシニアが分離され,総計106株を得た。魚種別ではフナから26.3% (45/171)分離され,ナマズの10.1% (9/89)に比し高率であった。2)陽性例56尾のうち,52尾からY. intermedia,7尾からY. enterocolitica,6尾からY. frederikseniiがそれそれ分離され,一部同一個体から2種の菌種が分離された。Y. kristensenii及びY. pseudotuberculosisは全く検出されなかった。3)河川水からのエルシニアの分離率は71.4% (20/28),泥土のそれは53.6% (15/28)で,魚からの分離率より高率であった。河川水及び泥土から計119株を分離した。4)河川水及び泥土の陽性検体計35例のうち32検体からY. intermedia,8機体からY. enterocolitica,4検体からY. frederiksenii,2検体からY. kristenseniiが分離された。Y. psedotuberculosisは全く検出されなかった。5)このように魚及びその生息環境におけるエルシニアの分布パターンはほぼ同様で,その主体はY. intermediaであり,次いでY. enterocolitica,Y. frederikseniiが占めることがわかった。6)魚,河川水及び泥土など水系からのエルシニアの分離率は夏季より冬季の方が有意に高かった。7)分離株の中には,わが国のヒトの症例から分離される血清型,生物型のものはなかったが,外国の散発症例から分離されているY. enterocolitica O:8 B:1,O:6,30 B:1などがあった。しかしVW抗原産生性や自然凝集性あるいはピラジナミダーゼ活性試験などの成績から,これら株の病原性を確認することはできなかった。8)以上,病原エルシニアの存在は立証できなかったが,淡水魚やその生息環境にはY. psedotuberculosisを除くエルシニアの各菌種が存在し,水系がこれらのレゼルボアとなりうることが明らかになった。
- 岐阜大学の論文
- 1987-01-10
著者
-
源 宣之
岐阜大学農学部獣医学科
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医公衆衛生学講座
-
源 宜之
岐阜大学農学部獣医学科
-
源 宣之
岐阜大学獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
武藤 照美
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室
-
Minamoto Nobuyuki
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
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