細胞融合によるイヌ伝染性肝炎ウイルス誘発ハムスター腫瘍細胞からイヌ細胞への T 抗原の移行(畜産学科)
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概要
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ICHウイルス誘発ハムスター腫瘍よりin vitroで確立したHT-7細胞とイヌ腎由来の株化細胞MDCKをUV不活化HVJの仲介のもとに細胞融合を起させ, HT-7細胞の有するT抗原をMDCKに移行させるべく, 実験を試みた。その結果, 細胞融合により約10∿30%のホモあるいはヘテロカリオンが形成されたが, 多核体のヘテロカリオン中に螢光抗体法によってT抗原を有するMDCKの核がみられ, イヌ細胞へのT抗原の移行を確認できた。なお, 細胞融合によってICHウイルスの活性化はできなかったが, 一部のMDCKの核に, ICHウイルス増殖の過程でみられる核内封入体と類似のものが観察され, このものはT抗体によって染色された。融合細胞を7∿10代継代後, その100∿500万個を生後96時間以内の仔イヌの皮下に移植を行ない, 腫瘍の発現の可能性を検討した。その結果, 細胞移植後1∿2週の間に局所に小指頭大∿拇指頭大の腫瘤の発生があり, その大きさはHVJ仲介のもとで融合させた細胞を移植されたイヌで著明であった。しかし, 腫瘤の病理組織学的観察結果は, 移植細胞の増殖によるものでなく, それをとりまく生体側の肉芽腫形成と診断され, 細胞融合法によってT抗原産生能を獲得したと思われるMDCKによる腫瘍の発現は確認し得なかった。
- 琉球大学の論文
- 1972-12-01
著者
-
梁川 良
北海道大学獣医学部家畜衛生学講座および家畜生化学講座
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
西 武
北海道大学獣医学部
-
梁川 良
北海道大学獣医学部家畜衛生学講座
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
琉球大学農学部
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