沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : III 牛,山羊および馬糞便由来薬剤耐性大腸菌とその R 因子について(畜産学科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
一般に抗菌剤を含まない飼料で飼育されている健康な牛, 山羊および馬の糞便より分離した大腸菌計986株を対象に, APC, SM, TC, CP, KM, SAの6剤を用いて, 薬剤耐性試験とR因子の検索を行なった。1.牛由来405株中93株, 23.0%が何れかの薬剤に耐性を示す耐性菌であった。耐性菌中, 約半数の46株が単剤耐性菌で, 多剤耐性菌の占める率は比較的低い。耐性パターンではTC(27株), SA(12), TC-SA(7)が主で, これら3型で耐性菌の半数を占めた。2.耐性菌93株中12株, 12.9%にR因子が確認され, SMあるいはAPCを耐性型に持つ多剤耐性菌に比較的高率に検出された。3.山羊由来371株中83株, 22.4%が耐性菌で, うち39株は単剤, 24株は2剤耐性菌であった。主たる耐性パターンはSA, TCおよびAPCの単剤型であったが, 使用した6剤すべてに耐性の株も1株分離された。耐性菌83株中R因子を確認できたのは9株で, 10.8%に相当した。4.馬由来株では, 210株中61株, 29.1%が耐性菌で, 耐性パターンとしてはSA単剤型が最も多く, 次いでAPC-SA, APC型が多く検出された。耐性菌の52.4%が単剤耐性菌である。R因子は6株, 9.8%に検出され, これらは何れも多剤耐性菌に属した。5.上記3家畜由来株に共通した点は, 耐性菌が30%以下, またR因子の検出率も13%以下で共に比較的低率であり, さらに耐性菌の中でも単剤耐性菌が約50%, 2剤耐性菌が約25%を占め, 多剤耐性菌が少ないことであった。薬剤別にみると, SAに対する耐性菌が最も多く, 次いでTC, SM, APCの順で, 逆に, CPおよびKMに対する耐性菌は比較的少数であった。6.以上の成績を, 抗菌剤添加飼料で飼育されている豚および鶏より分離した大腸菌についての, 前報の成績と比較し, 考察を試みた。
- 1975-12-01
著者
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
仲地 弘和
琉球大学農学部畜産学科
-
赤嶺 幸信
琉球大学農学部畜産学科
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
琉球大学農学部
関連論文
- サルにおける5種類のズーノーシスの病原体に対する抗体分布
- 各種動物におけるカンピロバクターに対する抗体の分布
- ドブネズミにおける数種の疾病の病原体及び抗体の検索
- サル糞便からのカンピロバクターの分離
- ニホンザルからのSV40の分離と分離ウイルスに対するサルの抗体調査
- ニホンカモシカ,サル及びドブネズミにおけるオウム病クラミジアの抗体調査
- 野生ニホンカモシカにおけるライムボレリア症の抗体調査(短報)
- 野生及び飼育ニホンカモシカにおける薬剤耐性大腸菌の検査
- ニホンカモシカ糞便からのエルシニア及びサルモネラの分離と薬剤感受性
- 野生ニホンカモシカの糞便由来大腸菌の薬剤感受性
- 神経系培養細胞における狂犬病ウイルスの増殖
- トキソプラズマ症のゲル内沈降反応による診断(畜産学科)
- 11 Toxoplasmosisに関する研究 : VI. T.gondiiのC.F.抗原とDEAE-Celluloseによる分画について
- 1 Tp症の各種血清診断法の比較 : 特に沈降反応を中心として
- ドバトからのサルモネラ及び大腸菌の分離と分離株の薬剤感受性及びRプラスミド
- ドバトにおけるCampylobacter jejuniの分布(短報)
- 中部山岳地帯における野生動物の病態(実践現場における野生動物医学 : その取り組みと成果の具体例)
- 5種類の人畜共通伝染病に関する野生ニホンカモシカの抗体調査
- 野生ニホンカモシカにおけるパラボックス感染症の流行
- 野生のニホンカモシカにおける2,3の人畜共通伝染病の抗体調査
- 名古屋市のドブネズミにおける広東住血線虫の浸淫状況
- エルシニアのβ-ラクタム系抗生物質に対する感受性
- 名古屋市の居住地区のドブネズミからのハンタウイルスの分離と性状
- 日本のワクチン株である牛疫ウィルスLA株のHA遺伝子の塩基配列の決定
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : III 牛,山羊および馬糞便由来薬剤耐性大腸菌とその R 因子について(畜産学科)
- 大学教育の立場から (獣医公衆衛生の現状と新しい展開)
- ハトロタウイルスに対する単クローン抗体の性状
- 動物由来カンピロバクターの薬剤耐性とプラスミド
- 各種動物からのカンピロバクターの分離
- ハトロタウイルスの赤血球凝集抑制試験の確立とそれによるヒトおよび動物における抗体調査
- 淡水魚,河川水及び泥土からのエルシニアの分離
- サルにおけるカンピロバクタ-の分布 (カンピロバクタ-をめぐって)
- 「バーチャル大学」の創設を目指した岐阜県の試み(ボランティア活動)
- 細胞融合によるイヌ伝染性肝炎ウイルス誘発ハムスター腫瘍細胞からイヌ細胞への T 抗原の移行(畜産学科)
- 68 イヌ伝染性肝炎ウイルス免疫ハムスターの同ウイルス誘発腫瘍移植に対する抵抗性(微生物学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 10 イヌ伝染性肝炎ウイルスでtransformしたハムスター胎児細胞からの株化細胞の作出とその性状 (微生物学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 34 イヌ伝染性肝炎ウイルスのハムスター細胞における増殖 (微生物学分科会)(第69回日本獣医学会)
- 33 細胞融合によるイム感染性肝炎ウイルス誘発ハムスター腫瘍細胞からイヌ細胞への下抗原のtransmissionとtransmitted cellの仔イヌへの移植 (微生物学分科会)(第69回日本獣医学会)
- 213 螢光抗体法による豚丹毒菌の検査
- 172 イヌ伝染性肝炎ウイルスに低いレベルで持続感染する HeLa 細胞について
- 37 イヌ伝染性肝炎ウイルスのHeLa細胞での増殖 () (第61回日本獣医学会記事)
- 48 Orinthosis virusとBaterium anitratumの共通抗原について (第59回日本獣医学会記事)
- 36 トキソプラズマ症における燐脂質感作カオリン凝集反応について
- 35 豚血清におけるゲル内沈降反応とトキソプラズマ保有との関係について
- 24 鶏の発育過程におけるトキソプラスマに対する感受性の変動について
- 56 鶏におけるトキソプラズマ症の研究
- 子豚糞便における薬剤耐性大腸菌の経時的消長(畜産学科)
- 発育期を異にするニワトリの糞便由来大腸菌の薬剤耐性と R 因子(畜産学科)
- 沖縄のリュウキュウジャコウネズミ (Suncus murinus riukiuanus) におけるトキソプラズマ抗体の調査(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : IV. 鶏肉および豚肉より分離された薬剤耐性大腸菌とその R 因子(畜産学科)
- R 因子保有菌に対するフラジオマイシン, パンフラン S およびフラゾリドンの効果(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : II 豚および鶏糞便由来薬剤耐性大腸菌の R 因子について(畜産学科)
- 豚丹毒菌の抗生物質に対する感受性およびペニシリン耐性株誘出の試み(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : I. 豚および鶏の糞便由来大腸菌について(畜産学科)
- イヌ伝染性肝炎ウイルスで免疫したハムスターの同ウイルス誘発腫瘍移植に対する抵抗性(畜産学科)
- IV. 発育鶏卵の感受性(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- III. 30-40 日令鶏および初生雛の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- II. 70-120 日令鶏の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- I. 産卵鶏の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- Antigenic and Functional Analyses of Glycoprotein of Rabies Virus Using Monoclonal Antibodies
- 犬におけるロタウイルスの抗体調査
- サル糞便からのエルシニア属菌の分離
- 輸入フィンチおよびインコ類に発生したネズミチフス菌感染症
- Campylobacter jejuniの卵黄での増殖と保存
- 沖縄における各種動物および人糞便由来大腸菌の薬剤耐性とRプラスミド
- イヌ伝染性肝炎ウイルスでトランスホームしたハムスター胎児細胞からの株化細胞の作出とその性状(畜産学科)
- リビトマイシンの動物由来細菌に対する抗菌作用〔英文〕