野生のニホンカモシカにおける2,3の人畜共通伝染病の抗体調査
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概要
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岐阜県下9市町村で昭和56年12月から58年3月までの間に捕殺された野生ニホンカモシカのうち455頭を対象に,5種の人畜共通伝染病に対する抗体調査を行い,以下の成績を得た。1)トキソプラズマ病はラテックス凝集反応により414頭中陽性25頭(6.0%)検出した。うち3頭は抗体価128倍以上の高い値を示した。陽性個体の年齢分布では1.5〜2才の群が14.8%で高率であった(P<0.05)。2)ブルセラ病は凝集反応と補体結合反応を併用し414頭検査したが陽性例は全くなく,疑陽性と判定されるものが6頭(1.4%)あった。3)レプトスピラ病はラテックス凝集反応で5つの主要な血清型について検査した。何れかの抗原に陽性を示す例は156頭巾20頭(12.8%)であった。陽性個体は雄に多く分布した(P<0.05)。4)オウム病については補体結合反応により197頭調べ21頭(10.7%)の陽性個体を検出した。しかし抗体価は何れも16倍以下であった。5)日本脳炎は血球凝集抑制反応で208頭検査したが,抗体陽性例は全く検出されなかった。6)以上の結果から野生のニホンカモシカがいくつかの人畜共通伝染病に対する抗体を保有し,その生息環境にこれら疾病に対する病原巣の存在が示唆された。また人畜におけるこれら疾病の防疫を考える上に野生動物の存在を無視しえないことがわかった。
- 1984-12-15
著者
-
源 宣之
岐阜大学農学部獣医学科
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医公衆衛生学講座
-
源 宜之
岐阜大学農学部獣医学科
-
鈴木 順
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室
-
源 宣之
岐阜大学獣医公衆衛生学講座
-
鈴木 順
株式会杜神戸製鋼所材料研究所
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
鈴木 順
岐阜大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
Minamoto Nobuyuki
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
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