定常温度での狂犬病ウイルス遺伝子の増幅(ウイルス学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
長い潜伏期間における狂犬病ウイルスの体内での存在様式を解明するためには,感度と特異性の高いin situ遺伝子増幅法が必要である.通常利用されるRT-PCR法をin situ研究に応用するにあたり問題となる点を考慮し,狂犬病ウイルス遺伝子RNAの検出のために定常温度下での遺伝子増幅法(NASBA法)を開発した.NASBA法は,定常温度下で4つの酵素活性により二本鎖cDNAを媒体として多数のRNAのコピーを産生する方法である.NASBA反応において狂犬病ウイルス粒子および感染細胞から抽出されたRNAから増幅されたcDNAがサザンハイブリダイゼーション法によって解析された.両RNAを鋳型としたNASBA反応において,狂犬病ウイルス遺伝子に特異的な予想された長さの増幅産物が反応8時間以降に検出された.本研究のNASBA法は通常のRT-PCR法よりも感度が低かった.この理由として,NASBA反応結果の評価のために,多数存在するRNAのコピーではなく媒体となる増幅cDNAをサザンハイブリダイゼーション法により解析したことが挙げられる.以上,定常温度下で進められるNASBA反応により狂犬病ウイルス遺伝子の増幅に成功した.本法は,このユニークな性状から狂犬病ウイルスのみならず他のRNAウイルスのin situ研究にも有用と考えられる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 2003-10-25
著者
-
伊藤 直人
岐阜大学 応用生物科学部 人獣共通感染症学研究室
-
杉山 誠
岐阜大学農学部人獣共通感染症学講座
-
杉山 誠
岐阜大学 応用生物科学部 人獣共通感染症学研究室
-
源 宣之
岐阜大学農学部獣医学科
-
源 宜之
岐阜大学農学部獣医学科
-
源 宣之
岐阜大学
-
源 宣之
岐阜大学獣医公衆衛生学講座
-
伊藤 直人
岐阜大学農学部人獣共通感染症学講座
-
源 宣之
岐阜大農獣医
-
Minamoto Nobuyuki
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
Sugiyama Makoto
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
Ito Naoto
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
杉山 誠
岐阜大学農学部
関連論文
- 野生動物における内分泌攪乱化学物質の蓄積濃度と生殖への影響(野生動物医学研究の実際)
- 野生動物医学教育における理想的な実習シラバス
- 実験動物を用いたウィルス性疾患(狂犬病等)のモデル動物の開発と診断・発症機序解明・治療への応用
- 獣医学教育の改革・改善に関する岐阜大学の取り組み
- 動物園動物および野生動物の感染症(動物園及び野生動物の感染症2002)
- サルにおける5種類のズーノーシスの病原体に対する抗体分布
- 各種動物におけるカンピロバクターに対する抗体の分布
- ドブネズミにおける数種の疾病の病原体及び抗体の検索
- サル糞便からのカンピロバクターの分離
- ニホンザルからのSV40の分離と分離ウイルスに対するサルの抗体調査