サル糞便からのエルシニア属菌の分離
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概要
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京都大学霊長類研究所で飼育されているサル延べ497頭を対象に,その糞便より人畜共通伝染病及び食中毒の起因菌であるエルシニア属菌の分離を試み,以下の成績を得た。1)エルシニア属菌が32頭(6.4%)から分離され,総計223株を得た。屋内個別飼育サルの分離率が0.9%(3/320)に対し,野外群飼育サルでは16.4% (29/177)で,後者が明らかに高率であった。2)菌種別の分離率はY. kristenseniiが3.6%で最も高率で,次いで,Y. frederiksenii 1.6%, Y. enterocolitica 1.0%, Y. intermedia 0.8%そしてY. pseudotuberculosis 0.4%の順であった。3)今回分離した株の中には,一般にヒトに病原性があるといわれる血液型,生物型のものはなかったが,最近ヒトの散発症例から分離されたY. enterocolitica 0:6, 30 B:1及びY. pseudotuberculosis III型菌が正常便から分離され,サルがこれらの健康保菌者となりうることが示唆された。4)エルシニア属菌の分離状況と糞便性状との間に特に関連はなかった。分離率は温暖期より寒冷期にやや高い傾向があった。5)分離株のうち80株について薬剤感受性試験を行ったが,SM,TC,KMに対してはどの菌種も等しく高い感受性を示した。CPやSAに対しては何れも感受性であったが,その程度にばらつきがみられた。6) CER,CFXを除くβ-ラクタム系抗生物質に対して,Y. pseudotuberculosis以外の菌種は概して耐性であったが,同一菌種でも血清型あるいは生物型によって感受性を示すものがあった。
- 岐阜大学の論文
- 1985-12-15
著者
-
源 宣之
岐阜大学農学部獣医学科
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医公衆衛生学講座
-
松林 伸子
京都大学霊長類研究所
-
源 宜之
岐阜大学農学部獣医学科
-
松林 清明
京都大学霊長類研究所
-
源 宣之
岐阜大学獣医公衆衛生学講座
-
松林 伸子
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
木原 正子
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室
-
Minamoto Nobuyuki
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
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