発育期を異にするニワトリの糞便由来大腸菌の薬剤耐性と R 因子(畜産学科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
飼料の安全性の確保および品質の改善に関する法律の実施(1977年1月)によって家畜飼料への抗菌剤等の添加が厳しく規制された。法実施初年度に, 薬剤耐性菌及びR因子保有耐性菌の検出率がどのように変るかを調べるため, 発育期を異にする幼すう(1∿4週齢), 中すう(4∿9週齢), 大すう(9∿15週齢)及び産卵鶏(6ケ月齢以上)の糞便由来大腸菌各250株, 計1,000株を対象に, APC, SM, TC, CP, KM及びSAの6抗菌剤を用いて実験を行なった。得られた成績は以下の通りである。1.耐性菌の検出率は, 中すう, 幼すう, 大すう, 産卵鶏の順に高く, それぞれ96.0,94.4,79.6,60.4%であった。週齢の若いものがむしろ耐性菌保有率が高い傾向にあり, 全体としては82.6%が耐性菌であった。2.何れの鶏群においても主に検出される耐性型はTC, SA, SMの単独型またはそれらの組合わせ型である。これら3剤を主体とした多剤耐性菌の検出率は幼すうで79.6%で最も高く, 次いで中すう78.4,大すう72.0,産卵鶏37.2の順で, 発育と共に検出率が低下の傾向にあり, 平均耐性型はそれぞれ2.3,2.2,2.0及び1.2剤であった。3.R因子の検出率は幼すう21.6%, 中すう14.2%, 大すう41.2,産卵鶏35.8,全体で平均26.8%を示し, 発育との関連性は特に認められない。しかし耐性菌が若いものに多く検出されたに対し, R因子はむしろ発育の進んだ鶏群に多く認められた。4.法実施前に実施したニワトリ(大すう及び産卵鶏)の耐性菌及びR因子保有菌の検出率, 94.6%及び36.4%と今回の成績を比較し法実施による影響をみると, 耐性菌は減少しているが, R因子保有菌の検出率には差がでてない。しかし耐性菌においても, その耐性型と飼料添加が不許可になった薬剤との関連性は特に認められなかった。
- 琉球大学の論文
- 1978-12-01
著者
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
琉球大学農学部
関連論文
- サルにおける5種類のズーノーシスの病原体に対する抗体分布
- 各種動物におけるカンピロバクターに対する抗体の分布
- ドブネズミにおける数種の疾病の病原体及び抗体の検索
- サル糞便からのカンピロバクターの分離
- ニホンザルからのSV40の分離と分離ウイルスに対するサルの抗体調査
- ニホンカモシカ,サル及びドブネズミにおけるオウム病クラミジアの抗体調査
- 野生ニホンカモシカにおけるライムボレリア症の抗体調査(短報)
- 野生及び飼育ニホンカモシカにおける薬剤耐性大腸菌の検査
- ニホンカモシカ糞便からのエルシニア及びサルモネラの分離と薬剤感受性
- 野生ニホンカモシカの糞便由来大腸菌の薬剤感受性
- 神経系培養細胞における狂犬病ウイルスの増殖
- トキソプラズマ症のゲル内沈降反応による診断(畜産学科)
- 11 Toxoplasmosisに関する研究 : VI. T.gondiiのC.F.抗原とDEAE-Celluloseによる分画について
- 1 Tp症の各種血清診断法の比較 : 特に沈降反応を中心として
- ドバトからのサルモネラ及び大腸菌の分離と分離株の薬剤感受性及びRプラスミド
- ドバトにおけるCampylobacter jejuniの分布(短報)
- 中部山岳地帯における野生動物の病態(実践現場における野生動物医学 : その取り組みと成果の具体例)
- 5種類の人畜共通伝染病に関する野生ニホンカモシカの抗体調査
- 野生ニホンカモシカにおけるパラボックス感染症の流行
- 野生のニホンカモシカにおける2,3の人畜共通伝染病の抗体調査
- 名古屋市のドブネズミにおける広東住血線虫の浸淫状況
- エルシニアのβ-ラクタム系抗生物質に対する感受性
- 名古屋市の居住地区のドブネズミからのハンタウイルスの分離と性状
- 日本のワクチン株である牛疫ウィルスLA株のHA遺伝子の塩基配列の決定
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : III 牛,山羊および馬糞便由来薬剤耐性大腸菌とその R 因子について(畜産学科)
- 大学教育の立場から (獣医公衆衛生の現状と新しい展開)
- ハトロタウイルスに対する単クローン抗体の性状
- 動物由来カンピロバクターの薬剤耐性とプラスミド
- 各種動物からのカンピロバクターの分離
- ハトロタウイルスの赤血球凝集抑制試験の確立とそれによるヒトおよび動物における抗体調査
- 淡水魚,河川水及び泥土からのエルシニアの分離
- サルにおけるカンピロバクタ-の分布 (カンピロバクタ-をめぐって)
- 「バーチャル大学」の創設を目指した岐阜県の試み(ボランティア活動)
- 細胞融合によるイヌ伝染性肝炎ウイルス誘発ハムスター腫瘍細胞からイヌ細胞への T 抗原の移行(畜産学科)
- 68 イヌ伝染性肝炎ウイルス免疫ハムスターの同ウイルス誘発腫瘍移植に対する抵抗性(微生物学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 10 イヌ伝染性肝炎ウイルスでtransformしたハムスター胎児細胞からの株化細胞の作出とその性状 (微生物学分科会)(第70回日本獣医学会)
- 34 イヌ伝染性肝炎ウイルスのハムスター細胞における増殖 (微生物学分科会)(第69回日本獣医学会)
- 33 細胞融合によるイム感染性肝炎ウイルス誘発ハムスター腫瘍細胞からイヌ細胞への下抗原のtransmissionとtransmitted cellの仔イヌへの移植 (微生物学分科会)(第69回日本獣医学会)
- 213 螢光抗体法による豚丹毒菌の検査
- 172 イヌ伝染性肝炎ウイルスに低いレベルで持続感染する HeLa 細胞について
- 37 イヌ伝染性肝炎ウイルスのHeLa細胞での増殖 () (第61回日本獣医学会記事)
- 48 Orinthosis virusとBaterium anitratumの共通抗原について (第59回日本獣医学会記事)
- 36 トキソプラズマ症における燐脂質感作カオリン凝集反応について
- 35 豚血清におけるゲル内沈降反応とトキソプラズマ保有との関係について
- 24 鶏の発育過程におけるトキソプラスマに対する感受性の変動について
- 56 鶏におけるトキソプラズマ症の研究
- 子豚糞便における薬剤耐性大腸菌の経時的消長(畜産学科)
- 発育期を異にするニワトリの糞便由来大腸菌の薬剤耐性と R 因子(畜産学科)
- 沖縄のリュウキュウジャコウネズミ (Suncus murinus riukiuanus) におけるトキソプラズマ抗体の調査(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : IV. 鶏肉および豚肉より分離された薬剤耐性大腸菌とその R 因子(畜産学科)
- R 因子保有菌に対するフラジオマイシン, パンフラン S およびフラゾリドンの効果(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : II 豚および鶏糞便由来薬剤耐性大腸菌の R 因子について(畜産学科)
- 豚丹毒菌の抗生物質に対する感受性およびペニシリン耐性株誘出の試み(畜産学科)
- 沖縄の家畜由来細菌の薬剤耐性 : I. 豚および鶏の糞便由来大腸菌について(畜産学科)
- イヌ伝染性肝炎ウイルスで免疫したハムスターの同ウイルス誘発腫瘍移植に対する抵抗性(畜産学科)
- IV. 発育鶏卵の感受性(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- III. 30-40 日令鶏および初生雛の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- II. 70-120 日令鶏の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- I. 産卵鶏の感染態度(鶏の実験的トキソプラズマ症に関する研究)(畜産学科)
- Antigenic and Functional Analyses of Glycoprotein of Rabies Virus Using Monoclonal Antibodies
- 犬におけるロタウイルスの抗体調査
- サル糞便からのエルシニア属菌の分離
- 輸入フィンチおよびインコ類に発生したネズミチフス菌感染症
- Campylobacter jejuniの卵黄での増殖と保存
- 沖縄における各種動物および人糞便由来大腸菌の薬剤耐性とRプラスミド
- イヌ伝染性肝炎ウイルスでトランスホームしたハムスター胎児細胞からの株化細胞の作出とその性状(畜産学科)
- リビトマイシンの動物由来細菌に対する抗菌作用〔英文〕