ハトロタウイルスに対する単クローン抗体の性状

概要

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ドバトから分離したわが国唯一のA群トリロタウイルス,P0-13株がヒトを含めた各種動物由来ロタウイルスとどのような関係を有しているのかを検討するために,P0-13株に対する単クローン抗体(MAb)を作出し,それらの性状を調べ,以下の成績を得た。1.3回の細胞融合で,最終的に88例のMAbを得た。それらのMAbの認識ウイルス蛋白抗原を免疫沈除法で調べたところ,29例がVP6,13例がVP8,5例がVP3,4例がVP7及び1例がVP2にそれぞれ対応していた。しかし,残りの36例の認識抗原は不明であった。2.各MAbとヒト,トリ,ウシ,及びブタ由来の10株のロタウイルスとの間接蛍光抗体法(IFA)による反応性から,P0-13株のVP6,VP8及びVP3はそれぞれ少なくても11,6及び3のエピトープから成ることが示された。また,VP6にはA群共通,亜群I型及び宿主特異抗原が,VP7には株特異抗原の決定基がそれぞれ存在するものと思われた。3.VP6における11のエピトープに対するMAbと各ウイルス株とのIFAによる反応によって,P0-13株の抗原性は英国で1980年に七面鳥から分離されたTy1及びTy3株と極めて近縁なことが分かった。しかし,ヒトロタウイルスとはかなり異なっていた。
岐阜大学の論文
1989-12-25