ニホンザルからのSV40の分離と分離ウイルスに対するサルの抗体調査
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概要
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ところ,各種実質臓器から同様のCPEを示す7株のウイルスが分離された。これら7株がすべて同一ウイルスであることを間接螢光抗体法で確認した。分離ウイルスは感染細胞の核内にハローを伴ったエオジン好性の封人体を,また細胞質内に微細な空砲をそれぞれ形成した。電子顕微鏡による形態観察,各種物理化学的性状試験,既知SV40ウイルスとの交差中和試験等から,本分離ウイルスはSV40と同定された。分離ウイルスに対する抗体調査をIAHA試験により行ったところ,H野猿公苑の8頭はすべて陽性であり,その他の施設で飼育されている7群78頭のそれも75.6%と高率で,両者間に有意差はなかった。しかし,抗体価の幾何平均値で比較すると210倍と89.9倍で,H野猿公苑のサルに明らかに高い抗体価の個体が分布していることが示された。分離したSV40が今回の疾病の直接の原因であるとの確証は得られなかった。しかし,アカゲザルを自然宿主とするSV40が,わが国のニホンザルの間にも広く浸淫している事実を明らかにした。
- 岐阜大学の論文
- 1985-12-15
著者
-
後藤 俊二
京都大学霊長類研究所
-
源 宣之
岐阜大学農学部獣医学科
-
後藤 俊二
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
市川 隆
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学研究室
-
竹中 修
京都大学霊長類研究所
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医公衆衛生学講座
-
松林 伸子
京都大学霊長類研究所
-
源 宜之
岐阜大学農学部獣医学科
-
松林 清明
京都大学霊長類研究所
-
鈴木 樹理
京都大学霊長類研究所
-
源 宣之
岐阜大学獣医公衆衛生学講座
-
松林 伸子
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
鈴木 樹理
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
鈴木 樹里
京都大学霊長類研究所人類進化モデル研究センター
-
金城 俊夫
琉球大学農学部畜産学科
-
Minamoto Nobuyuki
Laboratory Of Zoonotic Diseases Faculty Of Agriculture Gifu University
-
金城 俊夫
岐阜大学農学部獣医学科獣医公衆衛生学講座
-
金城 俊夫
琉球大
-
Kinjo Toshio
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Gifu University
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