おが屑堆肥の腐熟過程における植物毒性成分の変化

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おが屑中には, ワックス, 樹脂, リグニン等の難分解性成分含量が高いため, その堆肥化には長期間を要するのみでなく, その堆肥の腐熟度判定にも, 種々の問題が残されている。筆者らは, その適切な判定法を確立するための一基礎研究として, おが屑堆肥中の植物毒性成分の堆肥化過程における濃度変化を明らかにすることを試みた。その結果, 次のことが明らかになった。1. P-クマル酸, フェルラ酸, シリンガ酸およびコニフェルアルデヒドのような既知の植物毒性成分の含量は, 3カ月目に最も増加し, その後, 減少した。P-クマル酸の9カ月後の濃度は, 堆肥化開始時の濃度の3分の1に減少したが, フェルラ酸の濃度は9カ月後においても開始時の濃度まで減少しなかった。2. 偶数炭素数の高級脂肪酸であるOctadecenoic acidおよびパルミチン酸は6カ月目に最も高濃度になるが, その後, 減少した。しかし, 9カ月後においても, 堆肥化開始時の濃度レベルにまでは減少しなかった。3. 奇数炭素数の高級脂肪酸であるPentadecanoic acid, Heptadecanoic acid等は, 3カ月目に減少するが, その後, 堆肥化の進行に伴って, 増加する傾向が見られた。4. 植物および糸状菌に対する毒性物質として知られている3-Hydroxydecanoic acidの濃度は, 初めの3カ月間ほとんど減少が見られなかったが, その後, 減少し, 9カ月後には, 堆肥化開始時の量の1/10までに減少した。この種の堆肥を施用する場合には, これら毒性成分ができるだけ減少した時点を確認すべきであり, 以上の結果は, おが屑堆肥熱度判定のための一つの基礎資料として役立つものと考えられる。
神戸大学の論文

おが屑堆肥の腐熟過程における植物毒性成分の変化

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