濃厚飼料とイネワラによる去勢牛肥育 (III) : ホルスタイン種の700kg仕上げにおけるサイレージ給与との比較
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概要
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生後約3か月のホルスタイン種おす子牛6頭を, これに先立って実施した哺育試験の前歴と体重を考慮して3区に分け, 濃厚飼料とイネワラの不断給与によって76週間の肥育試験を行った。試験区はS区, D区, C区とし, S区はサイレージを不断給与, D区は110℃以上の高温で通風乾燥したサイレージの不断給与, C区はサイレージ無給与とした。主な結果は次のとおりである。1. 試験終了時の各区平均体重および全期間の1日増体はS区が736.0,1.09kg, D区が739.0,1.09kg, C区が698.5,1.02kgで, 試験区間に大差がなく, 有意差も認められなかった。2. S, D, C区の濃厚飼料採食量は, それぞれ4.62,4.60,4.52t, イネワラ採食量はそれぞれ706,690,678kgでいずれも大差がなかった。サイレージ採食量はS区255,D区187kg(生重量換算)でD区がやや少なかったが, いずれも量的にはごくわずかであった。3. S, D, C区のTDNの摂取量は, それぞれ3.67 3.64,3.56tで, TDN要求率は, それぞれ6.32,6.29 6.55でC区の要求率がやや劣るが大差はなかった。4. 試験終了時の肥育度指数はS, D, Cがそれぞれ517,529,477,枝肉販売単価はそれぞれ853,833,833円で, 個体差が大きく試験区間の差は明瞭ではないが, いずれもホルスタイン種去勢牛の枝肉としては満足すべきものであった。5. 以上の結果, サイレージの増体促進効果は確認できなかった。また, 濃厚飼料, イネワラの不断給餌方式でホルスタイン種去勢牛の700kg仕上げは技術的には容易で, 採算も合うが, 現状ではやや低い仕上げ体重をねらった方が有利であろうと考察された。
- 神戸大学の論文
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