反すう動物のコバルト欠乏症に関する研究 (V) : Co欠乏症における血球性状について
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概要
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過去4回にわたるCo欠乏症の発病ならびに治療試験において, 赤血球数, 赤血球容積, 血色素量, 白血球数, 白血球百分比を測定し, つぎの結果を得た。1. 赤血球数はCo欠乏症の発病によって, 発病全個体に減少が認められ, 極端なものでは1(mm)^3中209万に達したが, 他の欠乏症状が極端に進行しても, 著しい貧血には至らなかった個体もある。2. 1血球当りの容積と血色素量を測定した結果, Co欠乏症の発病前後においては, 高色素性大血球性貧血が発生し, 欠乏症の進行に伴なって, 次第に正色素性正血球性貧血から, 低色素性小血球性貧血に移行する様相が認められた。これはcobalamin欠乏によって, DNA合成が阻害されることによって, まず細胞が大型化し, ついで, 食欲に伴なう蛋白合成の低下によって小型化が始まるものと推察される。しかし, この小型化にはCu欠乏が関連している可能性もある。4. 白血球数はCo欠乏症の発病によって減少するが, cobalamin欠乏の直接的な影響で減少するのはリンパ球であって, 骨髄に起原を有する顆粒性白血球や単核細胞は, むしろ食欲減退に伴なう全体的な栄養低下によって減少するものと考えられる。また, 中性好性白血球の核型の移動は必らずしも認められなかった。5. cobalaminの非経口投与による治療に際しては, 治療開始後4∿6週を経て, 漸く赤血球数, 白血球数の増加が始まるが, これは造血組織の退行変性によって, 補給が遅れたためと推察される。
- 神戸大学の論文
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