反すう動物のコバルト欠乏症に関する研究 (IV) : 第2, 3, 4回Co欠乏症発病・治療試験の概要ならびに血液中のcobalaminおよび窒素化合物の変化について
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概要
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前報に引続き, 14頭のめん羊を用いて, 3回にわたり, Co欠乏症の発病ならびに治療試験を行ない, つぎのような結果をえた。1. 欠乏試験開始後13∿36週の期間に, 対照の2頭を除く12頭全部が濃厚飼料採食量を減じ, Co欠乏症の発病が確認された。cobalamin負荷による治療後の再発病試験では発病が早く, 極端なpicaを示した1頭は発病が遅れたが, 他は15∿27週の期間に発病した。また, この試験において濃厚飼料食下量の最低は1日当りわずか5gであった。2. 粗飼料食下量および, 体重は, 欠乏症の発病により減少したが, この減少は濃厚飼料食下量の減少よりも遅れて発現した。3. 第1胃内容液のcobalaminは試験開始直後に減少するものが多かったが, その後はとくに減少傾向を認めなかった。強いpicaを示した1頭は時折かなり高い値を示し, ふん食によるcobalaminの補給がうかがわれた。また, Co塩を与えた対照羊では常に高い値を示した。4. 血液中のcobalaminは試験開始と同時に減少を始め, 対数をとると30週頃までほぼ直線的に減少した。この減少速度はpropionateを与えた2頭では有意に大きく, propionate代謝に際してcobalaminの消費が促進されることを認めた。また, Co欠乏症を発病させる血中cobalaminの限界量は0.2∿0.3mγ/mlの範囲にあると考察された。5. 血しよう中の窒素化合物のうち, 尿酸がまず一時的な増加を示し, 続いて発病前駆期にアミノ酸の減少, 総窒素の増加が認められ, 尿素は蛋白摂取量の割には高い値を示した。この現象はcobalamin欠乏によるribotide-deoxyribotide間反応の阻害に基づくものと考察された。6. 1週当り200∿300γのcobalamin負荷により, 開始後2日以内に食欲の改善が認められた。この期間に血中cobalaminが増加し, 血しよう中の窒素化合物ではアミノ酸の増加, 尿素の一時的な減少が認められた。
- 神戸大学の論文
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