但馬牛の繁殖経営における技術と収益の関係(畜産学)
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概要
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兵庫県下の和牛繁殖経営13例について, 技術指標, 経済指標を計算し, 各指標間の相関係数を調べて, つぎのような結果を得た。1. 調査例の飼育規模は繁殖牛頭数で, 6.0∿28.4,平均14.2頭であり, 繁殖牛の平均年令は4.9才, 平均得点は77.9点であった。また, 実質子牛生産率は36.4∿103.1,平均84.6%, 子牛販売時の日令体重はめすで0.76∿0.98,平均0.83kg/日, おすで0.83∿1.11,平均0.94kg/日であり, これらの指標には, 経営間にかなりの差が認められた。2. 淡路地方の6例と但馬地方の7例を比較すると, 子牛販売時の平均日令は淡路地方が長く, 成牛換算1頭当り青草量は但馬地方が多い傾向があった。3. 繁殖牛1頭当りの生産費中, 濃厚飼料費と労働費は大きな比率を占め, 経営によっては青草類費用が大きかった。また, 支払費用と自給費用の比率には経営間の差が大きかった。4. 繁殖牛1頭当り生産費は20.1∿33.3,平均27.5万円, 1頭当り粗収益は13.1∿78.2,平均34.5万円, 1頭当り所得は-4.6∿57.5,平均16.6万円, 農家当り所得は-55∿468,平均194万円であった。5. 繁殖牛頭数は1頭当り所得と-0.47,農家当り所得と0.08の相関を示し, 単純な規模拡大効果のないことが認められた。また, 繁殖牛1頭当り所得は実質子牛生産率と0.47,子牛販売時日令体重とめすで0.78,おすで0.65,年間青草量と0.56の相関があった。6. 濃厚飼料費, 青草類費用は所得と正の相関, 繁殖牛償却費, 支払利息地代は所得と負の相関を示し, 自給費用も所得と正の相関があった。また, 繁殖牛1頭当りの所得は, 生産費と0.24,1頭当り粗収益と0.96,1頭当り純利益と0.97の相関があり, 兵庫県のような条件では価格志向型経営が有利と認められた。7. 以上の結果, 収益向上の技術的重点は子牛生産率の向上, 子牛の発育促進の2点にあり, 飼料とくに青草類の多給, 観察力の充実, 技術向上に見合ったゆるやかな規模拡大が収益向上のための方策と推測された。
- 神戸大学の論文
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