タケノコのフェノール性成分の同定と貯蔵中の変動
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概要
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タケノコを収穫したのち, 20℃下で貯蔵すると2日後より基底部周辺よりかっ変が発生し, 経日的にその程度も拡大する.そこで, 本研究は貯蔵タケノコのかっ変に注目し, かっ変基質の生成に関与する数種フェノール酸の同定およびその消長, ならびにかっ変基質の同定とその変動等について検討したものである.1. 20℃貯蔵タケノコの先端部および基底部より粗フェノール酸を抽出・分離し, その含量を測定したところ, 基底部では2日後のかっ変発生時に急減し, 以後増加に転じた.2. タケノコよりフェノール成分を分離し, 個々のフェノール酸をガスクロマトグラフィーで分析したところ, 貯蔵当日では23点のピークが, 20℃貯蔵9日後では25点のピークが検出され, 貯蔵によりピーク数の増加と量的な変動が生じた.また, ガスクロマトグラフ質量分析により7種の成分が同定または推定できた.3. 貯蔵タケノコの先端部および基底部のフェノール酸の変動を調べたところ, シキミ酸および5-デヒドロシキミ酸の変動が大きく, 貯蔵中急速に増大し, しかもタケノコの基底部においてより増大した.これらの増大とタケノコのかっ変発現がよく符合することからシキミ酸経路の活性化が生じているものと思われる.4. タケノコのポリフェノール成分として, カフェー酸とクロロゲン酸が同定された.特に, クロロゲン酸含量がカフェー酸よりもかなり多かった.5. 20℃貯蔵タケノコの先端部および基底部のカフェー酸含量の変化は両部位とも全貯蔵期間を通してあまり変化は認められなかった.一方, クロロゲン酸は貯蔵2日後の基底部で急増し以後急減した.
- 園芸学会の論文
- 1998-09-15
著者
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