タケノコのチロシン生成に関与するD-グルコース-U-14C及びシキミ酸-G-14Cのトレーサー実験
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概要
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タケノコ先端部 (A区分) 及び基底部 (D区分) の各組織切片に D-グルコース-U-14C 及びシキミ酸-G-14Cを取り込ませ3, 6, 9, 21時間反応させたのち, 各画分に取り込まれた14Cの活性を測定し, タケノコに多量に含まれるチロシンの合成及び利用について検討した.1. タケノコ組織に取り込まれたグルコース-U-14CはA区分では全活性の11.4% (3時間後) から13.6%(9時間後), D区分では16.4% (3時間後) から52.5% (9時間後) がアルコール不溶性残渣に移行した. アミノ酸画分へは9時間後にA区分で4.1%が, D区分で12.8%が取り込まれた.2. グルコース-U-14Cはすべてのアミノ酸へ取り込まれたが, 最も活性の高いのがアラニンであり, 次いでr-アミノ酪酸, グルタミン酸であった. チロシン及びフェニルアラニンに取り込まれた活性はアミノ酸画分に対して各々0.6〜7.8%及び0.7〜4.8%であった.3. 取り込まれたシキミ酸-G-14Cの総活性のうちA区分では反応時間を通して約20%が, D区分では約10%がアミノ酸画分に移行し, その他の画分への移行はわずかであった.4. シキミ酸-G-14Cはチロシン及びフェニルアラニンに効率良く取り込まれ, 21時間後には総活性の12%(A区分) から8% (D区分) がチロシンに, 同様に10% (A区分) から6% (D区分) がフェニルアラニンに取り込まれた.5. リグニンアルデヒドへの移行はグルコース-U-14Cの場合, 9時間後に総活性の0.36% (A区分) から0.98% (D区分) が, シキミ酸-G-14Cでは21時間後に0.82% (A区分) から2.15% (D区分) であった.6. シキミ酸G-14Cからホモゲンチジン酸へ取り込まれた14Cの活性は非常に少なく21時間後で総活性の0.1から0.2%であった.7. 本実験結果よりタケノコ組織に存在するチロシンの生成はグルコース及びシキミ酸を前駆体とするシキミ酸経路によるものと推定される.
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