油脂中のトコフェロールの熱酸化分解防止法
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概要
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含硫化合物, 各種のアミノ酸, 核酸塩基, 抗酸化剤, 有機酸などを精製オリーブ油に添加し, AOM試験管を用い, 180℃で10時間加熱時の油脂中のToc残存量, および加熱後の油脂の酸化安定性 (重量法試験, オーブン試験) を検討した。<BR>1) 油脂中のTocの熱酸化分解防止に最も効果のあったものは, 没食子酸とチオジプロピオン酸 (Toc分解防止100%) で, ついで, シスチン, ホモゲンチジン酸, トリプトファンのそれぞれ88, 84および80%の順であった。<BR>2) 没食子酸, チオジプロピオン酸の0.03%添加で, 油脂中のTocの熱酸化分解を100%防止した。<BR>3) 加熱時間と没食子酸添加油中のTocの残存量は, 加熱10時間まではTocはほとんど残存しているが, それ以上の加熱になるとToc量はしだいに減少し, 30および50時間の加熱で, Tocの残存率は46および16%になった。<BR>4) 加熱時のTocの残存量の多い油脂ほど酸化安定性も一般には高いが, 添加剤によって若干その傾向は異なっていた。すなわち, 没食子酸やチオジプロピオン酸などは, Tocの残存量が多いことと, それ自身の抗酸化性に富んだ物質で, これらの両作用で油脂の酸化安定性は非常に高い。レシチン, ホスファチジルエタノールアミンなどは自動酸化に対して抗酸化性を示さなかったことから, 酸化安溝性はおもに残存Tocの効果であった。BHT, NDGA, オリザノールなどの抗酸化剤は, Tocの熱酸化分解防止効果がないことから, おもにそのものの抗酸化力によった。アデニン, β-カロチンはToc熱酸化分解防止も抗酸化作用もなく, 加熱後の油脂の酸化安定性は劣っていた。
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