油脂中のトコフェロールの熱分解に対するシリコーン油の効果

概要

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ポリジメチルシロキサン系シリコーン油(商品名KF-96)添加と加熱による油脂および脂肪酸メチル中のトコフェロール(Toc)の熱分解と酸化度について検討した。1.シリコーン油添加大豆油,なたね油およびオリーブ油の180℃,加熱後のTocの残存率は無添加油に比べてそれぞれ高い。2.大豆油,なたね油ではシリコーン油の添加量が多くなるにしたがい,Tocの残存率も高い。オリーブ油では,シリコーン油の添加量が1ppmでも10ppmでもTocの残存率は同じであった。3.大豆油,なたね油のアニシジン価,カルボニル価は,シリコーン油の添加量が多いほど低いが,オリーブ油では,添加量による差はなく,両値ともほぼ同じであった。4.シリコーン油添加によりオレイン酸メチルおよびリノール酸メチル中のTocの熱分解を防止した。リノール酸メチルではシリコーン油の添加量が多いほどTocの残存率は高いが,オレイン酸メチルでは添加量の多少にかかわらず残存率は同じであった。5.アニシジン価およびカルボニル価は,リノール酸メチルではシリコーン油の添加量が多いほど低いが,オレイン酸メチルでは同じであった。
日本調理科学会の論文
1991-05-20