成熟過程における綿実種子のリン脂質およびその脂肪酸組成の変動について
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概要
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成熟過程における綿実種子脂質中のリン脂質組成の変化とその構成脂肪酸ならびに脂肪酸分布について調べ,以下の結果を得た. (1) 成熟初期には非極性脂質は少なく,開花後20日目以後急増した.これはトリアシルグリセロールの増加が主因であった.一方,極性脂質では初期には糖脂質が多く,開花後30日目以後はリン脂質が多く含まれていた. (2) 開花後20日目までの種子には,ホスファチジルコリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルエタノールアミン以外に,ホスファチジン酸,ボスファチジルグリセロール,ジホスファチジルグリセロールなども割合多く含まれていたが,成熟に伴いホスファチジン酸,ホスファチジルグリセロール,ジホスファチジルグリセロールなどは減少し,完熟種子ではホスファチジルコリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルエタノールアミンの3種類で96%以上を占め,他のリン脂質は少量であった. (3) 綿実種子のホスファチジルコリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルエタノールアミンの主要構成脂肪酸は,成熟全期間を通じてリノール酸,パルミチン酸,オレイン酸,ステアリン酸の4種類であった.ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンでは種子成熟に伴いリノール酸の割合が増加し,パルミチン酸の割合が減少する傾向がみられた.とくにホスファチジルコリンでは,開花後40日目以後その傾向が顕著であった.ホスファチジルイノシトールはパルミチン酸が成熟初期より完熟に至るまで特徴的に多く含まれていた. (4) ホスファチジルコリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジルエタノールアミンの分子内脂肪酸分布では,成熟全期間を通じて,いずれのリン脂質においても, 1位に飽和脂肪酸, 2位に不飽和脂肪酸が圧倒的に多く分布していた.とくに,飽和脂肪酸では,パルミチン酸,不飽和脂肪酸では,リノール酸が主体を占めた.中でも,ホスファチジルイノシトールの1位は,パルミチン酸が成熟過程中,圧倒的に多く占めていた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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