鶏卵揚げによる揚げ油の泡立ち性

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鶏卵揚げによる揚げ油の泡立ちとその要因、揚げ後の油脂の酸化安定性、卵黄レシチンと大豆レシチン、ならびに飽和大豆レシチン添加油の泡立ち性の比較を行なった。1.泡立ち性の測定は底のない目盛付試験管を用い、試験管を揚げ油につけ、180℃で加熱。じゃがいも(半径5MM、厚さ5mm)をその試験管中に投入し、もり上がる泡の高さ(泡高mm)を測定した。内径10、15、20mmの試験管中、15mmの試験管が泡立ちを測定するのに便利であった。2.鶏卵の揚げ個数が多くなるにしたがい泡立ちは激しくなり、揚げるまえの大豆油の泡高25.5mmに対し、鶏卵10個揚げ後の揚げ油の泡高は111.5mmとなった。3.鶏卵の揚げ個数が多くなるにしたがい、揚げ油中のリン脂質およびコレステロール量の割合が高くなった。これらは鶏卵から揚げ油への移行によるものであった。4.卵黄レシチンの添加濃度が高くなるにしたがい、油の泡立ちは激しくなり、1%添加油で泡高は75.7mmになった。コレステロールは泡立ちには関係がなかった。モデル実験としてレシチンの構成成分であるコリン、リン酸について泡立ち性をみたが、いずれも泡立ちを起す要因ではなかった。レシチンによる発泡性はレシチンのもつ分子構造と界面活性作用によるものと思われた。5.卵黄レシチンと大豆レシチンでは、大豆レシチン添加油の方が泡立ちがやや激しく、0.5%卵黄レシチン添加油の泡高55.4mmに比べ大豆レシチン添加油の泡高は57.8mmであった。飽和大豆レシチン(水素添加率100%)は未水添の大豆レシチンよりも泡立ちは激しく、その0.5%添加油の泡高は68.4mmであった。また、発砲の持続性も飽和大豆レシチン添加油の方が高い。6.鶏卵揚げ後の油脂の酸化安定性は対照油(単純加熱)に比べて高く、また油脂中のトコフェノールの分解も少ない。
1987-12-20

鶏卵揚げによる揚げ油の泡立ち性

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