Brovanexineの十二指腸内適用によるイヌ気管分泌細胞活性の経時的変化
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概要
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去痰疾薬brovanexineの生体位での有効性を追求する目的で,気管杯細胞および気管腺に含有される糖蛋白(GP)の動態を含めた分泌活性に及ぼす影響について,組織学的,組織化学的面から検討を行った.pentobarbital-Na麻酔下で,雄性雑犬にbrovanexine,その主要代謝産物であるBR-227およびbromhexineの10および20mg/kgを十二指腸内適用し,経時的に気管組織のbiopsyを行った.その後摘出気管組織の標本を作製し,alcian blue(pH2.5)-periodic acid Shiff[AB(pH2.5)/PAS]染色,AB(pH1.0)/PAS染色の2種染色を施した.これを150倍の顕微鏡写真にして,組織学的,組織化学的指標に従い解析した.1)気管腺および杯細胞の分泌機能に及ぼす影響: brovanexine適用により,気管腺の腺房内径(A<SUP>I</SUP>)および粘膜固有層の厚さに対する腺房内径の比率(A<SUP>I</SUP>WR)は適用4時間後をピークとしいずれも用量依存的な増加を示した.この変化はBR-227およびbromhexine適用においても同様にみられ,程度的には3薬物ともほぼ同等であった.AB(pH2.5)/PAS染色陽性総杯細胞数に対しては,BR-227にのみ減少傾向が認められた.一方,Reid indexに対しては3薬物とも影響を与えなかった.2)気管腺および杯細胞含有GP動態に及ぼす影響: brovanexine適用により,気管腺腺房細胞および杯細胞に含有される酸性糖蛋白(AGP)は適用4時間後をピークとし,用量依存的な減少がみられた.この変化はBR-227およびbromhexineにも同様にみられ,なかでもbromhexineに若干強い作用が認められた.3)血圧および心拍数に及ぼす影響:brovanexine,BR-227およびbromhexineはいずれもイヌの血圧および心拍数に対しては何ら影響を与えなかった.以上の結果より,brovanexineは生体内においても気管腺.の分泌機能に対し選択的な亢進作用を示すと同時にこれら分泌細胞に含有されるAGPに対して溶解作用を示すことが示唆され,さらにこれらの作用は適用4時間後をピークとし,6時間後まで持続する作用であった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
柳浦 才三
星薬科大学
-
山崎 光雄
北陸製薬(株)中央研究所
-
伊藤 安夫
北陸製薬(株)中央研究所
-
山崎 光雄
北陸製薬株式会社中央研究所
-
武田 弘志
星薬科大学薬理学教室
-
久保 信治
北陸製薬(株)中央研究所
-
下 武男
北陸製薬(株)中央研究所
-
田中 田中
北陸製薬(株)中央研究所
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