気管分泌細胞の実験病理学的モデルに対する Bromhexine の効果
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概要
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去痰薬 bromhexine の有効性を追求する目的で,pilocarpine 処置によって作製した酸性糖蛋白(AGP)産生促進機能を有する気管杯細胞,気管腺に及ぼす影響について組織学的,組織化学的面から検討を行なった.雄性雑犬の摘出気管を Hanks 液中でpilocarpine 10<SUP>-6</SUP>M 30分間処置し,AGP産生促進機能を有する杯細胞,気管腺を作製した.その後,これら分泌細胞を含有する気管片を Hanks 液中でbromhexine(10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)30分間処置した.薬物処置後,光顕用組織標本を作製し,alcian blue(pH2.5)-periodic acid Schiff[AB(pH2.5)/PAS]染色,AB(pH 1.0)/PAS 染色の2重染色を施した.これを150倍の顕微鏡写真にし,組織学的・組織化学的指標に従って解析を行なった.AGP産生促進機能を有する杯細胞に及ぼす影響:染色陽性総杯細胞数の変化は認められなかった.しかし,AGP 含有杯細胞数の著明な減少,これに伴う中性糖蛋白(NGP)含有杯細胞数の増加が認められた.また,AGP中の硫酸化糖蛋白(SGP)含有杯細胞数の著明な減少も認められた.AGP 産生促進機能を有する気管腺に及ぼす影響:気管腺腺房の内径およびacinar inner diameter to wall ratio(A<SUP>I</SUP>WR)の bromhexine 濃度に依存した軽度な増加が認められた.また,Reid index の軽度な減少も認められた.さらに,AGP および SGP 含有気管腺腺房細胞数の著明な減少に伴う NGP 含有気管腺腺房細胞数の増加が認められた.インキュベーション液中の総糖質,N-acetylhexosamine および蛋白質濃度の変化:bromhexine 処置により,総糖質および蛋白質濃度の増加,N-acctylhexosamine 濃度の有意な減少が認められた.以上より,bromhexine は AGP 産生促進機能を有する気管杯細胞の分泌機能には影響を示さないが,気管腺の分泌機能は軽度に促進する.また,これら分泌細胞中に含有される AGP に対して溶解作用を示す.
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